柏レイソルのスカッドについて(2022シーズン)

 近年、稀に見る阿鼻叫喚なオフシーズンを終え(ほ、本当に終えたのか!?と未だに不安になるが)、気がつけば日程も発表されている今日この頃です。あけましておめでとうございます。

 過去は振り返らない!ということで、早速ではありますが、簡単に2022シーズンのスカッドを見ていきます。 

スカッドを見た印象(ざっくり全体感)

  • CBの選手層はリーグ屈指
  • 2列目より前は「量より質」
 今年のスカッド全体を見たときに抱いた印象です。もはや、この二点に尽きると思います。
 ネガティブな印象の放出が多かったことは否めませんが、しかし、全ポジション満遍なく放出を行ったわけではありません。
 よくよく見ると、
 死守すべきところは死守できたのではないか?
 と。
 また、大放出についても、実際問題そこまで悲観する必要もない……?
 御託を並べても仕方がないので、そのように思った理由を一つずつ掘り下げていきます。

CBの選手層はリーグ屈指

  • 死守すべきところ--それは、つまりCBです。最悪、最終ラインとキーパーが体を張れば失点しませんから(暴論)。
  • まあ、冗談はさておき、なんと言ってもCBは、ほぼ全員の残留に成功
  • 山下の放出はあったものの、田中くんの昇格があるので、実質的な差し引きはゼロ(枚数的に)。
  • なんと言っても、目玉は田中くんの昇格。数年前から指摘されている補強ポイントである左利きCB。
  • 才能の片鱗は、昨季のルヴァン杯で披露済み。普通に試合に絡んでくるものと思われます。というか、すぐに海外へ行ってしまう気がします。
  • さらに、ポジショナル・プレーをやりたいチームに持っていかれると思った太陽と、しばらく音沙汰のなかったエメルソンも残留。
  • 虚無だったビルドアップの部分は、田中くん、太陽、エメルソンと人的リソースは十分なので、あとは戦術に落とし込めるかどうかだと思います。
  • また、強度や高さの観点からは、エメルソン、祐治、染谷、上島、そして終盤は右SBにコンバートされていたけど大南も控えています。
  • こうして改めて見るとCBの選手層は普通にリーグ屈指だ思います。間違いなく、ストロングな部分。強度寄りな気はするものの、そこは監督としても譲れない部分だったのかもしれません。

2列目より前は、「量より質」

  • 「量より質」、我ながら惚れ惚れするくらいポジティブな表現だと思いますが、まるっきり根拠がないわけでもない。
  • 昨季は確かに、あれだけのメンバーを擁していたものの、シーズンを通してメンバーを固定することができませんでした。つまり、最適解を見つけることができなかったのです。
  • その事実を如実にあらわしているデータが【出場時間】です。
  • 二列目より前の選手で、最も【出場時間】が長ったのは、

    クリスティアーノ 28試合先発 2,481分(2,481分/3,420分で72%)

    これは、まあ、印象通りです。
    しかし、その次に長い出場時間を記録したのは、

    江坂 任 15試合先発 1,329分(1,329分/3,420分で38.5%)

    まさかの5月までしか在籍していない選手が二番目!(仲間はCHでカウント)

www.football-lab.jp

  • 定着しなかった理由が、戦術的なものなのか、負傷による離脱なのか、という点は練習が非公開だったので闇の中ですが。
  • 監督もラスト1/3の崩しは選手に任せているので、こうもメンバーを固定できないとコンビネーションの部分で物足らなくなってしまう。
  • ただ、先日の会見で前線の再編成については言及しているので(有料部分なので詳細は省きます)、やっぱりもうどうしようもなくなっていた部分もあったのでしょう。
  • まさしくスクラップ・アンド・ビルド。

www.targma.jp

  • 何事においても、「量か?質か?」みたいな議論は永遠のテーマだとは思いますが、2020〜2021が量だとしたら、2022シーズンは「質」
  • ヴィオや武藤といった戦力は維持。新戦力の中村、小屋松、ドウグラスの実力は言うまでもないし、細谷も台頭著しい。森くんも即戦力として計算されているものと思われます。
  • つまり、質は保たれています。
  • だからこそ、負傷者を出さないことはとても重要です。
  • 昨季のように「負傷者続出です」では、質も何もあったものではありません。中断なく流れて行くシーズンになるので、回復を待っている間に次から次へと試合がやってきます。
  • ルヴァン決勝で正月まで戦った昨季とは違い、今年に関しては、オフもプレシーズンもしっかりと時間を取ることができたのでコンディショニングの部分は問題ないだろうと思っています。
  • 「質」の方向性についても聖域なき再編成によって、全員がハードワーク!インテンシティ!を実行できるような構成に。
  • 死ぬ気で前プレ!トランジション!を全員で行ってボールを回収して少ない手数で仕留める、もしくは、長いボールを蹴らせてCB陣に回収してもらう展開になりそうな気がします。

大放出について思うこと。

スクラップ・アンド・ビルドのシーズンに

 ざっくりとした感想はこんなところです。

 敢えてポジティブな側面にスポットを当てて書いてみましたが、総出場時間の30%を上回る選手たちが流出したことはどう考えても苦しい。

 思うところはあります。

 ただ、それでも、2022シーズンをネルシーニョ監督で戦うならば、編成の組み直しは必要不可欠であったとも思います。昨季終盤はチームとしての体をなしていませんでしたから。戦術以前の問題です。

 だから、スクラップ・アンド・ビルド。一度、全てを壊す必要があった、と。「今季をネルシーニョ監督で戦う」、それが前提条件なれば、一度壊すしかない。

 賽は投げられたとでも言いましょうか。

 クラブもそこは理解した上で、一枚岩となって支援している様子が伝わってきますし、腹を括ったなら、そうすべきだと思います。(そうせざるを得ない側面もあるのでしょうし、そうせざるを得ない状況に嫌気が刺すのもわかります)。

 「予想システムは?」みたいなのは相手を全く考慮していないような気がして好きではないのですが、やはり、自分たちの強さ――この厚い(熱い!)CBたちを活かすならば、3バックが合っているでは?と個人的には思います(4枚っぽいですが)。

 というか、3でも4でも対応できなければ、今の時代を勝ち抜くことは難しい。

それでも

 それでも。

 あれだけ悲しみに暮れていたのも束の間、チームが始動し日程も決まると「意外となんとかなるんでは?」と思い初めるおめでたい脳みその持ち主です。

 結局、期待してしまう自分がいるから不思議なもの。たぶん、アウェイもたくさん行くだろうし。

 願わくば、みんなが幸せな一年でありますように、とそんなことを思いながら。

 あ、30周年記念ユニは森選手にしました。

ポジション別

僕が付けていたメモを置いておきます。お暇な方はどうぞ(しっかり検証していないので、抜けている選手がいるかも)。

GK

  • スンギュ、佐々木、猿田、松本
  • 滝本を期限付き。
  • スンギュ神の流出を阻止。
  • 加えて横浜FCから猿田が復帰。
  • 佐々木についてもすでに充分通用することを証明しており、盤石の4枚体制。
  • 少し多い気がするのは、スンギュの離脱(代表招集による隔離とか)を織り込んだもの?

右SB(右WB)

  • 北爪、川口、大南
  • 峻希アウトで1枚減も、大南のコンバートを加味すれば差し引きはゼロ
  • というか、おそらくファーストチョイスは大南。高さ、速さでネルシーニョ監督好みの人材。シーズン終盤は、得点に絡む場面も見られるなど、本人も手応えがあるのでは。
  • 本職の北爪、川口については、SBのタスクによって使い分けたい。高い位置に配してビルドアップの出口役を期待するならば北爪、逆にビルドアップの入り口、配給役なら川口。

CB

  • 祐治、太陽、エメルソン、染谷、田中、上島、(大南)
  • 絶賛大放出のストーブリーグにありながらも、山下の放出のみにとどまり、ほぼほぼ無風。
  • ビルドアップに苦しんだ我が軍、カップ戦ながらも力を示したアカデミー卒の田中くんへの期待は高まるばかり。加えて、太陽、エメルソンもビルドアップ前線に時間を届けることのできる人材。あとはそれを戦術に落とし込むことができるかどうか。
  •  また、祐治、染谷、上島と対人、空中戦で強さを発揮する人材も。
  • 足元や強度とバリエーションに富んだ人材が揃っているため、対戦相手によって使い分けながら戦っていきたい。

左SB(左WB)

  • 三丸、岩下、大嶽、(太陽)
  • 岩下が加入。時折コンバートされる太陽を加えると4枚。大嶽が絡んでこられると幾分、厚い。
  • 昨季は散々だった左からのクロスボール。ドウグラスの加入で良質なクロスボールの供給は貴重な得点源となり得る。岩下は両足を使えるとのことなので、期待しています。

CH

  • 椎橋、大谷、ドッジ、三原、戸嶋、加藤、土屋、山田
  • ヒシャルジソンの流出もドッジ残留。
  • 「怪我人の復帰が最大の補強」ではないが、大谷キャプテンの復帰が待望される。
  • 最終節・大分戦出場の山田が通年でゲームに絡めると心強い。
  • 全体的にはポゼッションよりも強度重視で、なんともネルシーニョ監督好みといった印象。時間をつなぐタイプの選手はドッジぐらいか。山田がそのような仕事を担えると嬉しい。

SH、シャドー、トップ下、IH

  • 中村、サヴィオ、小屋松、細谷、(武藤)
  • (江坂)、仲間、神谷、クリス、瀬川、イッペイと大放出。そして、小屋松、中村を補強。
  • 最も懸念されるポジションではあるが、結局、2021年を通して最適解を見つけられなかった。戦術的な問題か怪我か不明な離脱も多く、真相は闇の中。
  • 大外に張って仕掛けるタイプよりは内側で仕事をする選手が中心。まあ、大外レーンはSBやWBにお任せが主流だからそんなもの。
  • 細谷をサイドで使う旨の報道を見かけた。とはいえ、ネルシーニョ監督の2列目より前の選手は、かなり流動的な部分があるから、普通にトップでも使われそう。
  • クオリティについては申し分のない選手たちばかりなので、試合で出られさえすれば問題ないとは思う。が、やはり圧倒的に層が薄いことは間違いないので、負傷者を出さないこと、コンディションの維持が重要。中断期間もないし。

FW

  • 武藤、アンジェロ、森、枡掛、真家、ドウグラス
  • やはり目玉はドウグラス。空中戦は言わずもがな。稼働率の低さが懸念。
  • 9番を背負う武藤の実力は今更いうまでもなく、クラブからの期待が厚いことが伺える。
  • 台頭著しい細谷が2桁取れたら最高。
  • 森くんも即戦力として結果を残してくれそう。5得点という謙虚な目標はあっさり越えてほしい。
  • 見ての通り、若手に結果を出して貰わないと困るといったところ。
  • アンジェロの刺青が見たい。