【プレビュー】vsジュビロ磐田(2024明治安田J1リーグ 第3節)

開幕直後だけはやたら威勢が良い。それが戦術ブロガーの生態系。熱量が高いうちにすべてを吐き出してしまうから再現性が低いというかサステナブルではないのだということは、これまでの自分が証明している。こんなプレビューなんて不慣れなことまでしてしまうのだから。

とはいえ、熱量が高くないとこれほどまでにカロリー消費の激しいことなんてできねえよ!というのもまた真理であろう。継続して書くことの重要性は自分自身が一番理解しているものの、どうにもこうにもやらない理由を探し始めてしまう弱い自分に鞭を打ちながらパソコンへ向かう。非緊急かつ重要なタスクにどれだけ取り組むことができるか。ビジネスも同じだろうと戒めも込めて。

柏はどのように戦うべきか【磐田対策】

後述するが磐田は京都や神戸と異なり前からプレッシングを掛けてくるチームではない。

神戸戦ではプレッシングを剥がすことでゲームの主導権を握った柏ではあるけれど、やはり神戸自身が能動的に人を動かしてくれたことで上手く行った側面は大きい。実際、神戸にとっても柏があそこまで繋いでくるとは思っていなかった旨のコメントも見られた。確かにプレッシングのコース取りに甘さも見え、迷いが生じている感はあった。

つまり、奇襲が成功したと表現することができる。

磐田を相手にボールを保持する場合、相手のブロックを自ら動かす必要がある。同じ保持でも先週とは大きく異なる点は刻んでおきたい。

神戸戦の成功体験があるとはいえ、やはり現時点での柏の強みは去年積み上げた敵陣でのプレッシングやカウンターにあると個人的には考える。それを発揮できるシチュエーションでゲームが進むことが望ましい。

そのためにも、まずはボールを手放す必要があるよう思う。プレッシングやカウンターを発動するためには、相手にボールを保持してもらう必要があるからだ。

もっとも、プレッシングを行うということは相手からボールを取り上げることと同義であるため、結局はいかに自分たちがボールを保持しながら相手を動かすことができるのか?といった問題に帰結するのだが。ただ、同じ問題に突き当たるとしても、その過程は大切である。

以下は川崎戦の図だが、ボールサイドのSHが出て行ったときにSBが晒されるのは構造的には狙い目かもしれない。SHを絞らせることで神戸を攻略した直後ではあるが、対磐田ということであれば両SHは大外に張らせたい気はする。

ただ、古賀・犬飼が広めにポジションを取り、二枚で2トップ脇から前進がでるのなら、横幅をSB、内側にSHで攻略できるかもしれない。相手のSBを引っ張り出したところから、SHか細谷が裏抜けすることでスペースの攻略ができる。

なので、古賀・犬飼が磐田のスライドよりも早いスピードで配給できるか否か?といったところが一つの見どころかもしれない。

 

画像

www1.targma.jp

www1.targma.jp

磐田の予習

やはり事前の予習は大切。相手がいつも通りなのか、今日に限って何かを変えてきのかによってゲームの解釈は変わる。いつも通りなのであればスカウティングのクオリティが垣間見えるし、今日だけ変えてきたのなら適応力を図る指標になる。

開幕戦と川崎戦では、非保持【4-4-2】のシステムを採用し、ミドル~ローラインにブロックを構えながら、カウンターの機会を窺うような戦い方であった。昇格組ということで、神戸・川崎という後手に回る可能性が高い相手をリスペクトしての判断なのかもしれないが、昨季の磐田を観ていないのでそのあたりの文脈は分からない。

保持

画像

まずは保持から。主体的にボールを握りたい意欲はそれほど感じなかった。スタッツとう観点から見れば、保持率が相手を上回ったのは神戸戦の60分以降のみだ。

www.football-lab.jp

www.football-lab.jp

一応繋ぐ素振りは見せる。ただ、どちらかといえば神戸・川崎のプレッシングに真っ向から立ち向かうというよりは、相手を引き寄せて蹴っ飛ばすためのアプローチであるような印象だった。

プレッシングによって得たい結果が異なる2チームが相手ではあったけど、磐田の保持における振る舞いにはそれほど変化を感じなかったことも含めて、そこまで保持という局面で主導権を握る設計にはなっていない様子だった。

前進の手段が乏しかったと表現することもできるかもしれない。

特に神戸戦ではパスがつながらない場面も多く、神戸のネガトラ、ブロックの餌食になって、自陣に閉じ込められる場面も多く見られた。

その一方で、修正力も垣間見えたのが川崎戦だった。川崎のIHの裏のスペースを狙い、SHを内側に絞らせるなど相手の出方に応じてビルドアップの出口は用意している印象を受けた。神戸戦でジャーメインへのロングボールが全く機能しなかったことへの修正を施した様子で、セカンドボールを回収したい意図があったかもしれない。

いずれにせよ、自陣で閉じ込められた際にどのように陣地を回復するのか。そもそも自陣で過ごすことを受け入れているのか。おそらく受け入れている訳ではなく、パスで相手を剥がしながら前進がしたかったはず。そして、そのためにショートパスを選択したのが神戸戦。

質的な優位性で対処できた昨季とは違い、J1の強度に慣れる前に2失点でゲームが終わってしまったというのが開幕戦なのだろう。あくまでも個人的な仮説だが。

ジャーメインが攻撃をけん引することは間違いないのだけど、空中戦を競わせるよりも裏抜けに専念させた方が良いのではないかというのは個人的に。CBを押し下げるというかピン留めを図る意味でも。

地上での前進手段という課題と当面は向き合わなくてはならない気はする。柏目線ではボールを敢えてボールを放棄することで、去年からの積み上げた部分を発揮することができる。そういった観点では、戦術的な相性が非常に良いチームといえるだろう。

非保持

一方の非保持は【4-4-2】でゾーン守備。プレスの開始ラインはミドルゾーン。2トップで中央へのパスコースを牽制しながらサイドへ圧縮する仕組み。特に川崎戦ではその意識が非常に強い印象を受けた。

3枚でのビルドアップに対して2枚で牽制することになるので、どうにもこうにも横のスライドが間に合わない。まあ、ある程度織り込み済ではあったと思うけれど。特に開幕節を見てから対策を講じることのできた川崎は、元々ボールを握りたいチームではあるけれど、狙って動かしているような印象を受けた。

2トップ脇のケアはSH。特に川崎戦に関してはそこまで出て行ってもいいのか?と思う場面は結構あった。特に左SHの平川。スライドは何とか間に合うけれど、SH-SB間のスペースが開くというか、SBが孤立する場面が多かったので、柏としてはここが磐田攻略の鍵かもしれない。

画像