vs千葉(ちばぎん杯・2020/2/9) 1年を通したマネジメントとは?

 物凄くどうでもいい個人的な今年の目標として、試合の感想を文章にしていこうと思う。
 仕事で文章を書く機会が増えたから練習のため、練習といえども一定の緊張感(人に見られる)を確保するため、脆弱な記憶力を補完する備忘録(試合の記憶がすぐなくなる)のため、頭の整理のため・・・等々、理由を挙げたら枚挙に暇はない。それでも最も大きな理由はサッカーを理解したいということ。
 物事の理解を掘り下げていく過程で、アウトプットは欠かせない。戦術分析なんて大層なことはできなくても、解釈を記す程度なら僕にもできるのではないかと思った次第。
 いつか、分析と呼べる代物になることを願い、まずは継続することから始めたい。


・・・と意気込んでみたものの、
まさかの録画が消失。
尋常ではない寒さ故にメモなどもちろん取っておらず、録画を見返す前提だったことから記憶も曖昧。
検証も確認もできないので、間違いや勘違いがあるかもれない。その時は優しく教えてください。


 先発メンバーは2019年仕様。2019年J2第43節、と言われても違和感は全くない。
 試合の流れの中でも結果的に、アクシデントによる交代(航輔→スンギュ)を除けば2枚(オルンガ→呉屋、江坂→神谷)しか交代カードは切っていない。その2枚に至ってもテストの側面よりも、疲労による強度の低下が要因と解釈できるものだった。
 新加入選手が多いということは、それだけゲームモデルやプレー原則の共有、組合せの最適解を導き出すまでに時間を要することでもある。


 キャンプ中のTMについても、[2019年在籍チーム]と[ほぼ2020年新加入チーム]という分け方をしている。

今季初の対外試合は、調整段階の中でも勝利を収めた/TM 柏 vs 宮崎【2020指宿キャンプレポート10日目】 : 「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

 「VITORIA」の精神はネルシーニョの人生そのものではあるが、昨年は明確に[Aチーム]と[Bチーム]とで分けて戦うといった試みも実践している。一年を通したマネジメントの中でのミッション(J1昇格)達成のために、現在実行すべきことが明確だったことから採用できた選択肢である。
 今季についても、ル杯を含めた序盤戦をより効率的に戦う(勝つ)ために、現段階では、競争は度外視しているのではないか。度外視という表現が極端だとしても、優先事項(判断基準)は競争よりも、ゲームモデル・プレー原則を実行できる選手に置いているのではないか、と推察できる(あくまで今は)。
  その優先事項(判断基準)の中では、必然的に2019年在籍選手が主体となっていく。試合後の神谷のコメントに「戦術理解度」が課題との発言があることや、ネルシーニョが再三「組織的」といった表現をすることから、まず間違いないと考えられる。

第25回 千葉ダービーマッチ ちばぎんカップ|柏レイソル Official Site

 東京五輪による中断の影響から、序盤は連戦がつづく。チームを作りながら戦うことは現実的に難しいという判断だと思われる。クラブ運営・経営が1年を1単位として捉えていたら大問題だが、現場レベルのチームマネジメントとして、1年を1単位と捉えた判断・実行は賢明に見える。


 戦術的な部分については、昨年からの継続ということもあり上々の出来だったように思う。
 ボール保持の時間が増加することは、サッカーにおける4局面(①攻撃②攻撃→守備③守備④守備→攻撃)のうち、③[守備]の局面、時間の減少に繋がる。キャンプではハイプレスに取組んだといった記事があったが、つまるところは、相手に時間とボールを与えない(自分たちがボールを奪う、保持する)ことである。
 千葉が442の撤退を選択したこともあって、柏のビルドアップ隊が時間とボールを握る局面・時間が続いた。433や右肩上がりの3142など、配置や前進の仕方には一定の論理と再現性を感じた。検証したいところだが、録画は消失している。


 相手陣地に入るということは、ゴールに迫ることであると同時に、相手の奪いどころであるブロックの中に侵入すること(=奪われる可能性が増加すること)でもある。古賀のコメントにもあるが、②[攻撃→守備]の局面でプレッシングが外されたあと、中盤のスペースが攻略されてしまうことをキャンプでの課題としてチームは認識している。

古賀太陽「キャンプの最初に守備がはまらなかったことを考えると、そこからは改善できている」/ちばぎんカップ 千葉 vs 柏【試合終了後コメント】 : 「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

 その課題を受けて千葉戦では、高強度のプレッシングによって時間とボールを与えない+CBと三原の押し上げによるコンパクトな陣形を維持しながらのスペース、プレーエリアの圧縮など再現性が伺え、課題の克服が図られているように感じた。


 全体での押上げは背後に広大なスペースが生まれるリスクを許容、あるいは管理する必要がある。
 リスク管理とはリスクを取らないことではなく、許容可能なリスクを選択しながらリターンの最大化を図ることである。柏のリスク管理は、古賀が左CBにポジションを取りCBを3枚+アンカーによって中央の枚数を確保することで、被カウンターに備えている。
 ただ今後は、ボール保持を得意とするチームや、ボール保持を放棄することで前進を図るチームと対峙した際にどのような挙動が出るのか気がかりではある。
 現在のゲームモデルは、サッカーにおける4局面のうち、ボールを保持することで[守備]を減らすこと、即ち「ずっと俺たちのターン」という状況を作り出すことである。それは昨季のJ2を戦う上で編成におけるSBのサイズ不足や、古賀の強度不足を補うなど、総合的に勘案した最適解であった。
 ボールの保持を徹底的に放棄する戦い方、具体的にはロングボールによる前進だ。チーム全体が押し下げられることで、プレーエリアが後退すること。撤退を迫られることで③[守備]の局面・時間が増加することは望ましくない。もしくは、プレッシングを交わせるほどボール保持に長けたチームとの対峙だ。「ずっと俺たちのターン」を逆にされてしまう状況。列強揃いのJ1において、どれだけ守備(撤退時)で強度を維持できるかは注視していく必要がある。

 4局面のシームレス化が現代フットボールで勝つための常識である。何でもできるチームが強いのは言わずもがな。そのための補強であったと理解している。新加入選手の台頭なくして今期の躍進は有り得ない。

 大成功のストーブリーグ、この段階での完成度。開幕、試合が待ち遠しい。