vs全北現代(ACL・2018/2/13)HDDを旅しようvol.3

 ネル一次政権、達磨さんと続いたので、今回は下さん時代の試合を振り返ります。

 先日、この本が届きました。まだプロローグしか読んでいませんが、久しぶりに下さんのサッカーが観たいと思いました。
 しかし、よりにもよってこの試合。下さん時代の録画はこれしか残っていませんでした。残念です。



 メンバーや試合経過など公式記録は上記ツイートからお願いします。
 そして、予めご了承頂きたいのは、私は下さん教(狂)だということです。
 今回はただひたすらに、全力で下さんを肯定します。

 

ボール保持を放棄した理由

 このゲームを一言で表現すれば、「ロングボール」だ。それは全北はもちろん、柏も含めてである。下さんのポジショナルなビルドアップを観たかったのだが、ロングボールに終始する展開となった。
 ボールを保持することでゲームの主導権を握ることが、下さんの(当時の柏レイソルというクラブ全体の)ゲームモデルであったと記憶している。しかし、余りにもボールを蹴っ飛ばす。ボールの保持を放棄している。「ゲームモデルとゲームプランは違う。」とは、奈良クラブの林監督。ボールを放棄した理由を探っていきたい。

理由① ピッチコンディション 

伊東純也「一瞬の隙を突かれてもったいなかった」/ACL 全北 vs 柏【試合終了後の選手コメント】 : 「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

 第一に物理的な問題だ。有料記事なので引用は差し控えるが、ピッチが凍っていたようだ。公式記録には1度とある。極寒も極寒だ。
 自陣低い位置でのボール保持、ビルドアップでは、ミスが失点に直結する。GL初戦という重要度を鑑みるならば、不確定要素を最大限排除し、リスクを撤退的に取り払うことは理に適っている。ボールを自陣から遠い位置へ素早く運ぶという論理に破綻はないだろう。

理由② 相手のストロング・ポイントを消すため?

 第二に相手のストロング・ポイントを消すためのロングボール選択だ。ネルシーニョが言うところのニュートラルな状況といえる。
 なぜ、ロングボールがニュートラルな状況を作ることに繋がるのか。
 全北といえば、前線の選手へ目掛けたロングボールがストロング・ポイントである。ロングボールによる前進によって、全体の押し上げを図る。全体の(組織的な)押し上げによって、コンパクトな陣形の維持が可能となる。コンパクトな陣形の維持は、ボールロスト時(ネガティヴ・トランジション)において即時奪回が容易になることから、ボールの保持(攻撃)の局面を継続して行うことができる。
 ただ、全体が押し上がっているということは、構造として、背後に広大なスペースが存在することと同義だ。これは事前のスカウティングで知り得たことである。柏は徹底的にこの「背後のスペース」を素早く狙うことをゲームプランに据えているようだった。要は、カウンターである。
 ピッチ・コンディションが悪く、ボールを保持する時間がない状況であれば至極全うな選択といえるだろう。ボールを奪った瞬間(ポジティヴ・トランジション)の優先事項は、前を見ることだ。とにかくボールを前に付けることで、素早く仕留めることだ。
 結果としてこのゲームプランは、2点を先制することに成功するものの、3失点を喫する要因ともなってしまった。

 

ロングボールは手段であり、目的ではない

大谷秀和「簡単に勝たせてもらえないという厳しさを味わった試合だった」/ACL 全北 vs 柏【試合終了後の選手コメント】 : 「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

キム ボギョン「個人的にはどうしても勝ちたい試合だった」/ACL 全北 vs 柏【試合終了後の選手コメント】 : 「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

 タニとボギョンに限らず、口を揃えて「もう少しボールを繋ぐことが出来れば」とコメントを残している。
 裏のスペースを素早く狙うことや、前にボールを付けることを意識するあまり攻め急いでしまう・・・よくある話しだ。だから、ロングボールが増えていく。確かに、素早く相手の背後にボールを届けるだけなら、中盤を省略した方が早いかもしれない。しかしながら、相手の背後を突くことが出来る状況とは、自分たちが撤退を強いられている状況である。下さんといえば、美しいほどに圧縮された(コンパクトな)442のブロックだ。撤退した状況でのロングボールは、ただ相手にボールを与えているだけであり(蹴らされている、とも言う)、相手に攻撃の機会を与えることである。
 空中戦に強い選手を前線に配置することで、強引に打開を図ることが可能なチームが存在することも確かだ。全北がまさにそういうチームだ。ただ、柏レイソルは違う。最前線にクリスを配置していることからも、空中戦を挑んだわけではないことが読み取れる。
 後半の3失点についても、ボールを相手に渡すことで守備の時間が増えたことが原因だ。ボール保持を行うことが前提のチーム編成だったこともあり、被ロングボールへの対応は非常に不安定なものとなった。ファウルを与える回数も増加してしまった。

①手段の目的化が相手にボールを与えた。(裏を狙うこと・カウンターが目的のはずが、一手段に過ぎないロングボールに固執してしまった。)
②ボールを相手に与えたことで、守備の時間が増加することに繋がった。
③守備の時間が増えたことで、被ロングボール(空中戦)の弱さが露呈してしまった。

締めの言葉というほどのものではないけれど

下平隆宏監督の試合終了後の会見コメント/ACL 全北 vs 柏【コメント】 : 「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

 下さんも「攻撃の時間を増やしたかった」と言及しているように、守備の時間を減らしたかったのは事実だろう。
 それでも、ゲームプランにカウンターを据えることについては理に適っており、論理的な判断だと感じる。問題はそれ以前のところにあると考える。
 特に編成面だ。ACLを戦うにはFWもDFも、空中戦に強い選手が不足している。シーズン序盤、試合終了間際の失点を繰り返すこととなるが、結局のところ編成や過密日程によるところが大きい。
 その編成についても、天皇杯を年末まで戦ったことで、編成が後手に回ってしまったことが原因だ。そこまで勝ち残ったからこそ、ACLに出場できたのだが、結果的にGLの敗退が下さんを解任に追い込んだ。解任後、オルンガやナタンを獲得していることから、下さんなりに感じるところがあったのだろう。後にエルゴラッソにて「まだやれたのに」と回想している。やはり自分は、未だに下さんの解任は腑に落ちていない。それがこのブログを始めるきっかけになったのだが、それはまたの機会に・・・。

底辺銀行員が柏レイソルの財務諸表を読んでみるブログ(損益計算書・収益編)

 柏レイソルの財務諸表を読んでみます。
 表題にも記載しましたが、底辺銀行員(入社5年目)です。職業柄、日常的に財務諸表に触れていることから、いずれレイソルについて書きたいと考えていました。昨今の事情から、自宅にいる時間も増えています。勉強も兼ねて書いてみようと思い立った次第です。

 決算書(財務諸表)からは、クラブができることやできないこと、考え方までもが、ある程度読み解くことができるものと考えます。
 安定的な収益の獲得が、ピッチ上での継続的な勝利や好成績に貢献します。収益を獲得し、資産の拡大を図り、拡大した資産を元に更に収益を獲得していく・・・あくまで理想ですが、それこそが成長です。
 補強も育成もお金があってこそです。中長期的な視点に立ったクラブ運営などとよく言いますが、持続的かつ安定的な収益の確保が大前提です。明日の資金繰りに苦心する状態で数年先の未来を描くことは、現実的にも精神的にも厳しいように思います。お金があれば勝てるわけではありませんが、お金を持つことで強くなる可能性を高めることが可能です。


 今回は「損益計算書」の「収益」をクローズアップしていきます。クラブ(企業)の良し悪しは損益計算書だけ、ましてや「収益」だけで語ることはできません。しかしながら「費用」や「利益」、「貸借対照表」にまで触れるとあまりにも長文になってしまうため、複数回に分けて更新します(多分)。


※Jクラブの財務諸表は、勘定科目の開示がされていません。あくまで憶測の範囲であることはご留意ください。
※間違いや不適切な箇所はバシバシご指摘ください!


前提

 初めに会計期間を把握しましょう。損益計算書とは、一定期間における収益と費用の成績表です。
 2019年3月期(以降、当期と呼ぶ)損益計算書とは、「2018年4月1日〜2019年3月31日」の間にいくら稼いで、いくら使って、いくら手元に残ったかを記したものとなります。
 会計期間はクラブ(企業)によって変わります。3月決算であるレイソルは、期中にシーズンが変わる点に注意する必要があります(3月決算は全52クラブのうち、3クラブのみ)。
 要は、当期は「4月〜12月はJ1」「1月〜3月はJ2」だった、ということです。

 次に、この期間のトピックス(例年とは違う点)を把握します。後述しますが、突発的な事象を頭に浮かべながら仮説を立てることが重要です。

(大前提)成績不振に伴いJ2降格
ACLに出場していた(4月・GL敗退)
②監督交代(5月・下さん→望さん)
③中谷が移籍(6月・移籍金が2.5億円との報道あり)
④オルンガ加入(8月)
⑤監督交代(11月・望さん→岩瀬さん)
⑥ネル爺就任決定(12月)
⑦中山・安西、ブライアンが海外移籍(1月)

・二度の監督交代
・アカデミー卒の移籍が多い

 「二回も監督交代をしたということは、費用が増えてるはず!」とか、「移籍が多かったということは、移籍金がたくさん貰えたはずだから、売上が伸びいるはず!」という仮説に基づいて読み進めると理解が深まります。財務諸表単体では数字の羅列でしかありません。方向感を持つことが重要なのです。
 また、上記で列挙した事象は突発的な事象です。どういうことか。例えば中谷の名古屋への移籍は既に完了しているので、2020年シーズンには起こり得ません。
 損益計算書に限らず財務諸表を読む際、事前に突発的な事象を把握することで、前年(や例年)との比較において、異常値の原因を捉える手助けとなります。


1、解釈(増減要因を読み取ろう)

 初めに増減要因を探ります。財務分析とは比較です。

 比較することで異常値(前年・例年との変化)が判明します。その異常値こそが、その決算の「特筆すべき点」と言っていいでしょう。
 また、異常値が存在する一方で、特段変化のない数字というものも当然存在します。「横ばいで推移」などと表現されますが、安定・継続した事業(分野)と位置付けることができます。反対に、成長していない事業(分野)と捉えることもできます。

 比較する重要性がわかったところで、3期分を並べてみましょう。 
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 連続で増収(売上の増加)を達成しています。営業収益全体では、2017年3月期比で約44%増加と驚異的な成長を遂げています。
 あれ?と思われた方も多いのではないでしょうか。スポンサーも増えていないだろうし、観客増やす努力もしていないはずなのに、と。これも仮説です。疑って掛かりましょう。
 更に掘り下げます。
 内訳を比較していくと「スポンサー収入」・「入場料」・「アカデミー」・「物販」は横ばいで推移しており、これら4科目は増収要因ではないことが読み取れます。

 大きく動いている科目は2つ、「配分金」と「その他収入」です。

 まずは「配分金」。

 Jリーグからの配分金を指しています。2年間で約6億円の増加ですが、これはDAZNマネーの恩恵に起因するものです。ACLの出場による配分金の増加(2017年4位フィニッシュ含む)が影響していると思われます。
 DAZNマネーによって、継続して結果を残す(上位に入る)重要性はこれまでに以上に増しています。富めるもの・強いものが賞金を手にすることで、より富んでいく、強くなる時代になることが予想されます。・・・え?色々と見失ったせいで、たくさん賞金貰ったのに降格したチームがあるのですか・・・?静かにしてください。
(余談:配分金については計上時期が疑問。配分金の受取が2018年4月だったとしても、2017年シーズンの結果に起因する収益であることから、2018年3月期に計上することが望ましいように思う(仕訳:未収/配分金?)が、実態はどうなんでしょう。)

 続いて「その他収入」です。

 これは、主に「移籍金収入」などを指しています。
 対2018年比で約6億円の増加です。上記トピックスに、アカデミー卒の移籍が多かったことを挙げました。移籍金を残してくれるクラブ思いの選手達です。選手も大切な資産です。育成にはクラブのリソース(ヒト・モノ・カネ)を注いでいます。選手の意向を尊重しながらも、移籍金を獲得できる契約を結ぶことは重要です。ゼロ円移籍の時代は終わりました。

 以上のことから、2019年3月期の「収益」について簡単に総括すると、

「『スポンサー料』および『入場料収入』は横ばいで推移したものの、『配分金』および『その他収入』の大幅増加が増収に寄与したことで過去最高(多分)の営業収益を達成」

 という表現になります。

 

2、分析(収益構造を理解しよう) 

 当期の決算(収益)内容を把握したところで、続いては分析です。収益構造を理解しましょう。
 前述した通り、財務分析とは比較です。対象は、過去の自分や同業他社など、目的によって変わります。今回は、自社の収益構造を理解することが趣旨なので、過去の自分との比較を行います。
 3期分の内訳を横(縦)に並べてみます。上から順に2019年→2018年→2017年です。
iPad表計算ソフトが難しすぎて、これ以上のグラフは作れません。サイズもタイトルの位置も意味不明・・・ご容赦下さい。)


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 1、スポンサー収入が最大の収益源であること
 2、売上高スポンサー収入比率(スポンサー収入/営業収益:全体に占めるスポンサー収入の割合)は年々低下していること
 簡単に読み取れる情報がこの2点かと思います。

・スポンサー料が最大の収益源

 一目瞭然、既知の通りだとは思いますが、スポンサー収入が一番大きなウェイトを占めています。
 日立製作所や三協フロンテア、マブチモーターなどから受け取る広告料を指しています。(当然ですが、内訳までは公開されていません。)
 売上高スポンサー収入比率(スポンサー収入/営業収益全体)は、2017年3月期の約70%をピークに低下基調をたどり、当期は50%を下回る水準です。「スポンサー収入」の実収(比率ではない)が横ばいだったにも関わらず、割合が低下した要因は「1、増減要因を探る」で触れたように、「配分金」および「その他の収入」の増加です。スポンサー収入(分子)が横ばいで、営業収益全体(分母)が増えた(大きくなった)ことから、比率は低下しました。
 収益を1つ(事業や販売先)に依存することは継続的・安定的な成長の観点では極めて不安定です。リスク分散をすべきです。
 そうすると、徐々に売上高スポンサー収入比率が低下している(スポンサーだけに頼らなくなっている)ということは、
柏レイソルには健全な成長を遂げている」
という仮説を立てることができます。

 レイソルは健全な成長を遂げている」・・・違和感ありまくりですね。検証していきます。
 「スポンサー収入」の比率が高い理由は、親会社を持つクラブだからです。筆頭株主日立製作所であり、「大企業サッカー部」という皮肉な表現をされることもあります。日立製作所をはじめとする大企業のバックアップ(スタジアムの広告は大企業ばかりです。)の下、余裕を持ったクラブ経営を続けてきました。ネル爺一次政権時代、人件費が全クラブトップを記録したこともありました。リーグトップクラスの営業収益を有した時期もありましたが、スポンサーあってのことです。時代の変遷とと共に、相対的(他クラブとの比較)な収益力は低下していますが、それは本筋から逸れるので、別の機会にします。

 直近3期については、「スポンサー収入」は横ばいで推移しています。「頭打ち」という表現は不適切でしょうか。
 何度も述べますが、当期の増収(スポンサー収入比率の低下)は、2017年の好成績による「配分金」の増加と、移籍金獲得による「その他収入」の増加が要因です。
 これらは性質として突発的な事象によるものという認識です。事実、2018年シーズンは降格を喫しており、継続して結果を残しているわけではありません。勝負は水物です。また、冒頭で中谷の例を挙げましたが、移籍金収入は毎期継続して獲得できるものではありません。獲得できないというと語弊がありますが、不確定要素が多いといっていいでしょう。移籍は相対ですから、買い手が存在してはじめて成立するものです。
 移籍金が発生するということは、自クラブの戦力ダウンであることとほぼ同義でもあります。
 このように増収要因を掘り下げた時、スポンサー収入比率の低下を根拠に、「健全に成長しているとは言い難い」ことがわかります。

・「入場料収入」は微減

 微減となった「入場料収入」ついてはどうでしょうか。
 観客動員数は、残留争いを演じながらも、2017年シーズン比で1試合あたり▲418人程度です。大きな影響はありませんでした。チームの好不調はそれほど動員に影響を与えないと捉えることもできます。
 当期の「入場料収入」は減少してしまいましたが、今後回復を図り、クラブ全体の収益力の向上に寄与することは可能でしょうか。
 日立台のキャパシティと現状の収容率(2018シーズンは平均11,000人/キャパ15,000人=約70%)を考慮すれば、今後の増加余地は限定的と考えられます。残り4,000人(15,000人-11,000人)を単価2,500円で埋めると、1試合あたり10百万円、ホームゲーム17試合で170百万円です。多いか、少ないか。現状の柏レイソルは、少ないという結論を出しています。というのも、これはあくまで「収益」の話しです。そこから経費や人的資源の問題を勘案し、手元にどれだけ「利益」が残るかを考慮する必要があります。「収益」という論点からすると少し逸れることから次回にします。(「費用」の項目の「試合関連経費」から1試合あたりの経費を求めることができます。)
 寺坂氏が以前に話されたように、経営リソースを割くことで入場者数の増加を図ることは、現実的ではないという経営判断に納得感があるのも事実です。

 我々サポーターが「営業努力」と表現している部分は、「スポンサー収入」と「入場料収入」の2点を指しているものと認識しています。
 「突発的事象ではなく、主体的に変化を起こせる部分かつ、継続して収益を獲得できるその2点の成長余地が限りなくゼロに近い」という状況ではないか、という解釈ができます。
 また、最大の収益源であるスポンサー収入についても減少が予想されます。
 なぜかというと、2020年3月期(例年7月頃?発表)については、会計期間の大半をJ2で過ごしています。J1と比べてメディア露出の減少が予想されます。スポンサー視点では投資妙味(広告宣伝効果)に欠けることとなります。広告料の減額を行ったスポンサーも多数あったのではないかと、推察されます。ただ、例年以上に積極的な補強を敢行しており、蓋を開けて見なければわかりません。降格にも関わらず、スポンサー収入が横ばいだとしたら、良好な関係が構築されている証とも言えます。今のうちから仮説を立てるのも楽しいです。

気になるコロナの影響

 新型コロナウイルス感染拡大によって公式戦の中断長期化が懸念されます。
 中断が経営に与える影響については、収益構造からある程度推察することが可能です。
 延期・中止で最も懸念されるのが「入場料」の減少ですが、上記グラフでも読み取れるように、収益全体に占める割合は10%程度です。親会社や大きなスポンサーを持たず、「入場料収入」が収益源というクラブに比べれば影響は限定的だと思われます。
 しかしながら、試合が開催されないということは、スポンサー(広告)料というテイクに対して、ギブを果たしていないということです。レイソルが懸念すべき点は、収益源である「スポンサー収入」というです。
 感染拡大阻止による移動制限・外出自粛要請から、様々な需要が蒸発しています。急速な消費・経済の停滞よる企業業績の悪化は避けられません。景気の後退局面、業績の悪化局面では、企業心理は当然ながら、広告宣伝よりも雇用の維持など保守的なものとなります。「スポンサー収入」は減少が予想されます。
 客観的根拠はないものの、「スポンサー収入」の大半が日立製作所からのものだと推測されます。
 日立といえば、「選択と集中」による徹底的な経営の効率化によって成長を遂げてきました。近年の成長を支えた「選択と集中」はBリーグ所属のサンロッカーズにも及び、売却を模索しているとの報道がなされています。

日立が傘下バスケットチーム売却模索 事業の「選択と集中」の犠牲に | 【公式】三万人のための総合情報誌『選択』- 選択出版

 レイソルも例外ではありません。売上に占める白物家電の割合を踏まえると、一般大衆に対しての広告が日立にとってどれだけ効果があるのか疑問に思います。仮に日立が撤退ということになれば、クラブの存続すら危ぶまれる状況です。1つの事業や販売先に依存するリスクとはこのことを指しています。
 少し悲観的になりました。日立の決算を注視していくことも、ある意味ではレイソルを知ることに繋がるかもしれません。

 参考:短信が手軽です。(桁が大きすぎて意味不明です。私は読むことを諦めました。)
決算短信:株主・投資家向け情報:日立

 

締めの言葉というほどのものではないけれど

 損益計算書の「収益」というたった1部分だけでここまで掘り下げることができます。「費用」も「貸借対照表」にも触れていません。そして、それら全ては密接に関わりあっています。「収益」だけで全てを理解することはできません。
 次回は損益計算書の下半分である「費用(何にお金を使ったか)」と「利益(いくら残ったか)」について書いてみます(多分)。

vs広州恒大(ACL・2015/08/25)HDDを旅しようvol.2

 淡々と書いていきます。第二回目は、2015年のACLから準々決勝1stレグ広州戦。
 平日(火曜日)の日立台に14,000人もの動員は、この試合に懸ける思いを物語っています。
 ACLの準々決勝という舞台はもちろん、2年前の雪辱に燃えたサポーターも多かったはずです。
 リーグ戦が残念な展開だったこともあって、今季の全てをこの試合に委ねるような空気だったと記憶しています。
 余談ですが、この段階でリーグ戦は3位(2ndステージ)に付けていたようで、勢いには乗っていたようです。全く記憶にありません。

AFCチャンピオンズリーグ2015 準々決勝第1戦|柏レイソル Official Site

 先発は、菅野、チャンス、大輔、エドゥアルド、藤田、バラ、雄太、多部ちゃん(小林)、クリス、工藤、武富。
 直近のゲームからは、タニと輪湖が負傷でベンチ外。
 武富がトップ。バラがアンカーで、雄太と小林CH。やっぱりアカデミー卒業で組む3CHには夢がある。秋野はどうしたんだろう。

弱い?脆い?繊細?


 フルマッチを観た率直な感想は、やっぱり弱い。弱いという表現が不適切だとしたら、脆い、繊細、神経質という言葉でもいいかもしれない。
 失点が全てセットプレーだったことも含め、そのような印象を抱いた。

 達磨さんの哲学といえば、ボール保持やパスサッカーと言っていいだろう。達磨さんに限らず、当時の柏レイソル(アカデミー含む)がそんなチームだった。
 それ自体が悪いわけではない。むしろ目指すサッカー、ゲームモデルが明確なチームは強い。 
 柏レイソルは、ボールを保持する必要がある。そのために、ボールを奪う必要がある。
 例えば、トランジションではゲーゲンプレッシングによる即時奪取を試みることや、ハイプレスで相手に時間とボールを与えないなどといった振る舞いが求められる。
 しかしながら、トランジションの局面では明かに強度が不足していた。強度以前に、そもそも仕組が整備されていない。[攻撃]→[攻撃→守備]→[守備]→[守備→攻撃]という4局目の循環の中で、次の局面を想定したポジションを取ることが大切だ。柏の場合は、ボール保持を続けるための準備だ。すぐにボールを奪い返すことが出来る配置、ないしはすぐにプレッシングを開始できるポジションを取ることだ。
 
 広州戦に至っては、そのトランジション時の振る舞いが不安定だった。コンパクトな陣形を維持できず、プレッシングが掛からない。前後が分断し、アンカー脇にスペースを与えることから、プレッシングが外されてしまう。
 トランジションの機能不全が、ボール保持(時間)の減少に繋がった。

 だが、ここで考える。そもそもなぜ、コンパクトな陣形を維持できなかったのか。トランジションが機能しなかったのか。
 その答えは至ってシンプルなもので、ボールを持つことや、パスを繋ぐことでしか前進ができないチームだったからだ。
 広州恒大が序盤から高強度のプレッシングを選択したことから、柏はボールと時間が奪われてしまった。ボールを繋げない。保持できない状況のまま試合が推移していく。広州恒大の視点に立てば、ネルシーニョが表現するところの「ニュートラル」な状況を再現していると言える。
 ボール保持やパスサッカーという理想・哲学を掲げた以上、全力でボールと時間を奪いに来る相手との対峙は避けられない。
 その打開策や手段は、監督やチームによってそれぞれだ。配置、つまりはポジショナル・プレーを突き詰めることや、ボールを握るためにロングボールを選択すること等々・・・。
  この日(もしくはこの年)は、その状況を打開する術を持たなかったことが大きな敗因だと考える。打開策がなかったのか、理想に殉じるを良しとしたかは、微妙なところではあるが恐らくは前者であろう。

 ビルドアップでは、茨田がCB間に移動することで後方の数的優位の確保を図る。
 特徴的なのはFWの武富に与えられたタスクだ。ゼロトップに近いかもしれない。前線で裏を狙うことや、相手のCBをピン留めすることではなく、中盤での数的優位を確保するために降りていくこと、ビルドアップの出口になることが求められた。

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 しかしながら、全体が後ろに重くなった結果、相手を自陣に招き入れてしまうこととなる。味方同士の距離が近くなったことから、自分たちでスペースやパスコースを消してしまった。パスでの前進ができない。
 プレッシングを間に受ける状況だ。回避の手段は、ゴールキーパーをビルドアップに組み込むことや、ロングボールなどが挙げられる。
 これだけ後ろに重たい配置になるとロングボールでの前進は困難だ。そもそもボールを蹴ることを織り込んでいない(全体が低い位置にいる)ため、2ndボールの回収が出来ず、相手にボールが渡る。
 ボール保持のための列移動(バラと武富)が、却って自分たちを苦しめることとなった。パスサッカーだけど、ポジショナル・プレーではない。あくまでパスのためのパスだと表現していいだろう。
 そして、この状況のまま3点を先行される。3点取ったことで、次第に広州恒大はプレッシングの強度を落とすことになるが、そこでようやくボールを保持することができるようになった。つまり相手が強度を落とすまで何もできず、殴られっぱなしだったということだ。理想に殉じたといえば聞こえはいいかもしれない。しかし、そもそもボールすら保持できない仕組では、理想も何もあったものではない。
 冒頭で述べた弱さや脆さというのは、一つの戦い方しかできなかったことを指したつもりだ。強みを封じられた際の振る舞いは、弱さそのものだった。

 

ネルシーニョ→達磨への移行はなぜ

 

 そもそも、なぜクラブの最繁栄期を築き上げたネルシーニョから、達磨政権への移行を図ったのか。
 2015年を語る時、その背景を触れないことは達磨さんに対して誠意を欠く行為だと思っている。
 簡単に表現すれば、アジアで勝つため(獲るため)だ。

「このままでは広州(=中国マネー)には勝てないし、スポンサーからもそこまでの資金は引っ張れない。だから金ではなく。育成をクラブのアイデンティティに据え、アカデミー主体のシームレスな『組織』の下、アジアの頂点を目指そう。」

 当時を知らない柏サポーターが聞けば、「何を言ってるの?」と正気を疑うだろう。
 それでも当時は、クラブも選手も、サポーターも含めて全員が、これなら大丈夫、きっとアジアで勝てる。俺たちは間違っていない。そう本気で思っていた(少なくとも僕は)。
 ネルシーニョの後任が達磨さんであることは、暗黙の了解として認識されたていた。クラブもそのために要職を経験させ、時間を掛けて周到な準備を行った。
 それでも結果として達磨政権は1年で幕を下ろすこととなる。柏レイソルにとって、「アカデミー」とはどんな存在なのかということを考え直すことになった。後に寺坂さんはこの年のことを「変化を好まない、排他的な組織になってしまった」と表現した。広州戦に見た弱さや脆さは、確かにその表現に納得できる。
 その後、紆余曲折を経て下さんが引継ぐこととなる。結果的に2018年に降格を喫することになるが、この挑戦(アカデミーとのシームレス化)自体は決して間違いではなかったと個人的には思っている。しかし、それについては別の機会を設けたい。
 クラブもサポーターも非常にポジティブな思いを抱いて、走り始めたシーズンだったことは間違いない。それでも、数年の時を経て見返したこのゲームに、限界を感じずにはいられなかった。

vs広州恒大(ACL・2013/09/25)HDDを旅しようvol.1

 HDDの奥底に眠っている録画を見返す良い機会だと思いました。
 大雑把かつ面倒臭がりなので基本的に試合の録画はしていません。DAZNになってからは特に、アーカイブも残るので・・・。
 それでもHDDを見返すと、スカパー!時代のリーグ戦や地上波で放送したACLなど、いくつか録画が残っていました。
 遠征はできないけど、過去への旅なら自宅からでも出来るじゃないか!
 ということで、公式戦の再開が先か、HDDの録画を見尽くすのが先か。前者である祈って、今できることをやっていく所存です。
(ベストゴールpart2は下書きが消失したことから、モチベーションを探す旅に出ているところです。

[https://www.reysol.co.jp/game/results/2013/130925acl.php
レイソルさん、リンク切れてるよ)

(2013-09-26)AFCチャンピオンズリーグ2013 準決勝 第1戦 柏レイソル敗れる|トピックス|大会・試合|日本サッカー協会

 柏レイソルにとって大きな転機となった試合です。
 後に寺坂氏はこの試合(と2ndレグ)を振り返って「到底敵わないと思った」と述べています。
 「アカデミーを主体とするシームレスな組織でボールを握るサッカー」というゲームモデルに基づくチーム作りへの機運が高まった背景には間違いなくこの試合があったと思っています。(この試合がなくても達磨体制は発足しただろうし、そのためにクラブが時間を掛けて準備していたこととはもちろん)
 資金力では敵わないからこそ育成を!という、ある意味でこのクラブの根本的な限界が露見した瞬間でありながら、柏レイソルは強くなければならないのだとサポーターが心に誓った瞬間でもありました。
 それぞれが柏レイソルの未来に想いを馳せ、世界で勝つためにもっと強く賢く逞しくなければならないと多くの人が痛感したゲームではなかったでしょうか。


ネルシーニョが使う「ニュートラル」の意味

 ネルシーニョは「ニュートラル」という表現を多用する。そもそも、ニュートラルとは何を指しているのだろうか。
 私個人的には「相手のストロングを消した状況(状態)」という解釈だ。
 このゲームでいえば「広州の強力な前線3枚にオープンな状況(フリーかつ前を向いた状況)でボールを持たせない」というのが、ニュートラルな状況ということになる。
 そのニュートラルな状況に持ち込むための手段・手法が戦術だ。ネルシーニョが名将たる所以は、その抽斗の多さだと私は考えている。

驚くほど完璧な前半と、変わらないネルシーニョの哲学

 結果があまりにも印象的だったことから、内容も酷いものだったと記憶していたが、決してそんなことはなかった。
 決定機を逸した瞬間にあのネルシーニョが微笑んでしまうくらいには完璧だった。

 先発は菅野、チャンス、大輔、ドゥー、和、栗澤、バラ、TJ、ジョルジ、クレオ
 ボールの非保持では、前からのプレッシングでは→4141、撤退4411(442)。
 ボール保持ではTJとクレオがターゲットになる442に近い格好。

 前述したニュートラルな状況を作るためにネルシーニョが選んだ考え方は今と変わらない。
 高い位置でプレーすること、もしくは撤退することで自陣にスペースを作らない(=相手にスペースを与えない)。
 前者の「高い位置でプレーする」は、まさしく2019年〜2020年に柏レイソルが選択している戦い方と同じだ。
 自陣でのビルドアップは足元でパスを繋ぐポゼッションではなく、TJ+クレオというターゲットへのロングボールが中心。当然、セカンドボールの回収を図るために、チーム全体で押し上げることが必要である。来るべきトランジションに備えるためだ。
 あれ?今のレイソルと一緒じゃね・・・?
 という、衝撃的な現象を目のあたりにして、改めて名将ネルシーニョを思い知ることとなった。
 たしかに、正しいポジションを取ることや全体をコンパクトに保つことは、サッカーというゲームを有利に進める上で普遍的な原理であるから、当然といえば当然だ。

 やっぱりボールを持ちたい広州は、前線からのプレッシングを試みるものの、再現性は乏しく各々が好き放題追いかけている印象だ。
 柏ビルドアップ隊は無理せずロングボールでプレッシングを回避する。TJやクレオがターゲットとしてある程度の勝率を収めたこともあって、広州のプレッシングを完全に無効化しながら、チーム全体での前進、押し上げを図った。コンパクトな陣形での押し上げが成功していることから、ボールを失った瞬間に再び高い位置で守備が再開できる。高い位置で守備を始められるということは、まさに広州の3枚にオープンな状況を与えていないことを意味している。ニュートラルだ。
 ただ、この戦い方は、ボールを失った瞬間のゲーゲンプレッシングが勝敗を分かつポイントとなる。高い位置にチームの陣形をセットしているということは、後方にスペースが存在する(=与えている)ことと同義である。そこにボールが入る瞬間というのがまさに、広州の3枚がオープンな状態でボールを持つ状況だ。一番与えたくない状況である。
 クレオとTJの非常にクレバーなプレッシング(今風に言うとカバーシャドウ)は、例えボールを奪い切れなかったとしても、自陣に撤退する時間をレイソルにもたらした。撤退してスペースを埋めてしまえば、広州の3枚も強引なプレーを余儀なくされる。時間もスペースもないからだ。


①ロングボール→②2nd回収+カウンター+押し上げ→③(即時奪取→攻撃再開)or(撤退してボール奪取→①へ)


 相手をニュートラルな状況にしながら、再現性の高い循環の中で決定機を創出していく。
 攻撃が好きな広州の前線3枚は守備意識に乏しく、レイソルのSBの追い越しや、CHのサイドへ流れる動きで比較的容易に数的優位を作ることに成功する。
 あと一つどれかが決まっていれば違う未来が待っていたかもしれない。しかし、それはたらればの話だ。それでも、たらればの一つでも言いたくなるくらいには、完璧な前半であった。

 と、ここまで勢いにまかせて書いて見たものの、結局、語られるのはここまでだ。もちろんフルマッチで映像は見た。しかしながら、後半はまるで印象が変わってしまった。
 急激に運動量が減少し、不用意なボールロストを連発する我が軍。
 悪いのはネルシーニョでも選手でもなく、紛れもなく疲労。地獄のような(今にして思えば幸せすぎる)連戦の真っ只中。
 試合後のネルシーニョが珍しく不満を吐露するくらいには厳しい連戦だった。
 特にゲーゲンプレッシングの部分でクレオ疲労は相当なものだったことから、澤と交代するなど対応策は講じたものの今一歩。全体の疲弊具合が尋常ではなかった。

 久々に当時のレイソルを見たが、やはり印象的だったのはクレオ
 一年間の在籍だったものの、あそこまでサポーターの心を掴んだ選手もそうはいない。プレッシングの質やボールの収め方、守備の意識・理解力など歴代最高レベルの助っ人。顔も格好いいし。もう少し一緒に戦いたかった。今何してるんだろうなあ。

【柏レイソル】過去を振り返る、歴代ベスト10ゴール(前編)

たまには過去を振り返ることも必要ではないか、と思うのです(唐突)。
サッカーがある生活、レイソルがある生活こそが日常なのだ、と何気なく使っていた言葉や当たり前だと思っていた考えが、いとも容易く根底から覆されてしまう現実。
日立台。あの空間、あの場所は当たり前でも日常でもなく、特別な瞬間なのだと痛いほどに感じる今日この頃。
再び動き出すその日のためにできることは、大切なものや好きなもの、愛するものについてもう一度向き合うことではないかと思うのです。
慌ただしい日々に埋もれ、好きが故に当たり前や惰性になってはいなかったか、と自分自身に向き合うことではないか、と思うのです。
この空白をただ立ち止まる時間にはせず、少しでも意味のある、未来に繋がる時間にしたい。
そんなことを漠然と考えながら中断期間を過ごしております。

湿っぽくするつもりはありません!
こんな機会なので、一歩立ち止まり、過去を振り返るのも悪くないのではないか、と思うのです。
再開に向けて、過去の試合やゴールを観て気分を高めようぐらいの趣旨です。
そこで、独断と偏見に満ちた「レイソル歴代ベストゴール10選」を選んで見ました。
といっても、さすがに数が多すぎるので条件を2つ設けました。

①(自分が)現地で観戦していたこと
②タイトルマッチではないこと

この2つを条件に、僕の人生を支えていると言っても過言ではない10ゴールを振り返ります。

※あくまで10選です。順位ではありません
※動画はJリーグ含む各種大会および、クラブ公式がアップしたもの以外はリンクを貼っていません。ただ、リンクを貼っていないものについても、全て某動画サイトYTで視聴できることは確認済みなので気になる方はそちらでお願いします。


1、2000年4月1日 1stステージ第4節 vsFC東京 キタジのバックヘッド

激しい点の取り合いは洪 明甫の決勝ゴールで柏に凱歌【マッチアーカイブ2000】‪https://youtu.be/z9E2ToWi2to%E2%80%AC

この試合、サポートキッズとしてキタジと手を繋いで入場しているのが当時小学1年生の私。キタジ・フィーバー真っ只中(キタジ弁当とかありましたよね)。

https://www.instagram.com/p/fkloBZjWqJ/

誰と手を繋ぐかは、サポートキッズからの指名制です。当然、半分くらいの子はキタジを指名したと記憶してます。被った場合の決定方法はじゃんけん。激戦を勝ち抜き、手繰り寄せたキタジと手を繋ぐ権利。コールドスプレーの爽やかな匂いが格好よくて、20年経った今でも鮮明に覚えています。
あとはやっぱり茶髪!!さすがに染めさせて貰えなくて、絵具を塗りたくって怒られた記憶がある(苦笑)。
FC東京が、昇格1年目にして開幕から無敗の快進撃を繰り広げており、どこが止めるのか?みたいな取り上げ方だったと記憶しています。
結局、レイソルVゴール(懐かしい)で勝つわけですが、その口火を切ったのがキタジ。代名詞のニアサイドからのバックヘッド。パスを出したのが天才司令・大野というのもオールドファンには堪らない。本当にこの2人のラインは美しかった。後世に語り継ぐべきです。


2、2017年3月15日 ルヴァン杯第1節 vs清水 手塚のボレー

【公式】ゴール動画:手塚 康平(柏)3分 柏レイソルvs清水エスパルス JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ 第1節 2017/3/15https://youtu.be/2tJGmawyH7Q%E2%80%AC

記憶に新しい、エレガント手塚の伝説が始まった瞬間。
仕事帰りのルヴァン杯。試合直前に到着し、ユニフォームに着替えてるいる最中の出来事だったと記憶。普段タクシーなんて使わないのに、この日だけタクシーを使ったお陰で間に合った自分の判断を褒めたい。
言うまでもなく、とにかく格好良いスーパーゴール。
しかし、ただ格好良いだけのゴールなら、そこまで人の記憶には残らない。
ここから伝説は始まった。未来は常に過去を変えている。
その後の活躍、躍進がこのゴールに深い意味をもたらした。春先からの連勝も手塚がいたから成し得たこと。この一発があったからこそ未来が拓いた。
いつか、柏熱サイドにフリーキックをぶち込むその日を夢見て・・・必ず帰ってくると信じています。


3、2009年8月19日 J1第22節 vs浦和 大津の2点

降格した年の希望、真夏の夜の夢・・・。高校の部活帰りにジャージで観に行きました。
夏場にネルシーニョ政権1期目が発足するものの、最終的に降格を喫します。簡単な船出とは行かず、不安定な戦いが続きました。
そんなシーズンの希望の光だったの大津。ドリブルで左サイドをぶっちぎる姿に惚れ込みました。ボールを持ったときの「行けー!」というスタジアム全体が沸く雰囲気が好きでした。最近で言うと、伊東純也がボール持ったときの雰囲気と近いものがありました。
そんな2009年に、大津が主役となったゲームといえばこの試合です。ハイライトがないのが残念(動画サイトに非公式のものは落ちています)。
苦しく、辛いシーズンを大津が彩ってくれました。レイソルの未来を照らしてくれる希望の光だったのは誇張ではありません。


当時は「チャラ男」などと親しみを込めて呼ばれていました
そんな大津が学生を支援する活動を行なっています。鈴木大輔との対談の模様が興味深く、私が言うのもおかしな話ですが「大人になったなあ・・・」と思わざるを得ない内容だったので是非ご覧ください。

【実践済み】組織をまとめるたったひとつの方法https://youtu.be/MB0eJGageLE%E2%80%AC

昨季はマリノスの主力としてシーズンを戦い、リーグ優勝を果たしました。歓喜の輪に包まれている姿を滲みるように眺めてしまいました。レイソルでは、結果という意味で良い思いをさせてあげられなかったので、少し報われたような気がしました。


4、2017年7月2日 J1第17節 vs鹿島 ポゼッションからの大谷

【公式】ゴール動画:大谷 秀和(柏)24分 柏レイソルvs鹿島アントラーズ 明治安田生命J1リーグ 第17節 2017/7/2https://youtu.be/xGzayVq_5Ww%E2%80%AC

公式のハイライトが解っていない・・・。このゴール、30本近くパスを繋いでいます。
ハイプレス+ポゼッションで連勝街道を突き進み、首位で迎えたシーズンの折り返し。結局敗戦を喫するものの、勝てば2011年よりもハイペースだったと記憶しています。
下さん2年目。ゲームモデルが着実に浸透し、メンバーもアカデミーが主体となっています(この日も先発8人がアカデミー)。達磨さんやメンデスなど紆余曲折を経ながらも、ようやく理想に近づいたという実感がありました。俺たちは前に進んでいるという充実感を結果が肯定してくれた非常に楽しいシーズンでした。
このゴールはそんなシーズンの象徴。最後に仕留めたのがキャプテンというのもこれまたロマンティック!

 

5、2004年8月29日 2ndステージ第3節 玉田のドリブル

(玉田 圭司)Jクロニクルベスト:2004ベストゴールhttps://youtu.be/STpeqDHGqLQ
このゴール、当時の柏の小学生はみんな真似したはず。真似できるはずないんだけど。玉田らしさ全開。テレビだか家電のCMにも使われたような(当然、日立製)。
下敷きにサイン貰ったりしたな・・・とか思い出しました。
「玉田ギャル」なんて人種も存在していましたが、2005年の降格および玉田の移籍を機に柏では絶滅危惧種に認定。
柏からFWの選手が日本代表に選出される歓びと期待。特にアジアカップの衝撃は大きく、クラブも街も玉田一色。
成績も雰囲気も今考えると褒められたものじゃない停滞感の中で、数少ない希望の持てる明るい話題でした。今思えば、負担は相当なものだったはずで、余計なものまで背負わせてしまったかもれません。プレースタイルは大きく変わったものの、当時のヒーローがいまだに現役を続けている姿に勇気をもらえます。いつか指導者として柏に・・・というのはなかなか難しいかな・・・。

 

と、ここまで書いて既に3,500字!!
まだまだ中断期間は続きます。後編に次回に続きます。

【検証】レイソルの選手をμ'sに例えてみる【ラブライブ!】

誰が読むんだ!というニッチ過ぎる記事を書きました。
独断と偏見でレイソルの選手でμ'sを例えてみました。
各メンバーの上段がキャラの紹介、下段が選出理由となっています。
異論は認めます。バシバシご意見ください。

穂乃果→クリスティアーノ
海未ちゃん→カマジ
ことり→ヒシャルジソン
真姫ちゃん→江坂
かよちん→太陽
凛ちゃん→キリ
エリチ→航輔
希ちゃん→タニ
にこにー→瀬川

参考までに
ラブライブ!Official Web Site | メンバー紹介

高坂穂乃果クリスティアーノ

 μ'sを立ち上げた主人公。猪突猛進に突き抜ける、駆け抜ける様は、明日を生きる勇気を貰えます。脇目も振らない全力さで周りを巻き込むその姿はカリスマ性に溢れます。友人が「スタートアップ企業の社長みたい」と評していて物凄く納得がありました。共感してくれる方も多いのではないでしょうか。
 見えているもの、目指すものに対して愚直に努力を重ねます。その純粋さ故に周りが見えなくなることもありました。ラブライブ!辞退という、目指していたものを失った喪失感から気力をなくし、μ'sを投げ出します。μ'sを解散の危機に追い込み、挙げ句の果てには親友からビンタを喰らう等、時折見せる弱さに、支えてあげたい・・・!という気持ちになります。普通の女子高生と何も変わることのない姿、人間味あふれる姿が穂乃果の魅力と言ってもいいかもしれません。
 また、周りを引き込む力についても一級品です。親友が夢を叶えるために海外留学を決意しますが、「あなたと夢を叶えたい」と、直前で留学を阻止します。狂気の沙汰です。しかしながら、その強引さこそがμ'sの原動力、推進力となっているのは言うまでもありません。まさにμ'sを体現した存在です。
 曲折を経て、物語終盤では立派なリーダーに成長します。「変わることを恐れずに突き進む勇気に救われた」とエリチが言うように、変わることを恐れず、試行錯誤を繰り返して前に進む姿勢は自分も見習うべきだと思います。

 これはもう クリスティアーノ 一択だと思います。
 クリスを四字熟語で表現するなら「一球入魂」です。魂を込めるようにボールを扱う選手だという印象を持ちました。
 ちょっとお洒落にヒールをしてみたり、セルフジャッジでプレーを止めたり、穂乃果の少し抜けた性格と被ります。それでも、貪欲に勝利を目指して走って走って走りまくるクリスの姿に心打たれたことがある人も多いのではないでしょうか。この人に付いていきたい、背中を押したいと思わせるカリスマ性を感じます。
 勝利への執念は凄まじく、昂る感情を抑えない姿は、レイソル愛の具現といっても過言ではありません。感情が溢れすぎた故に警告を貰うこともしばしば。ただ、それもご愛嬌です。穂乃果ちゃんも中途半端な言動で、海未ちゃんにビンタされています。

 

園田海未鎌田次郎

 穂乃果の良き理解者、というかもはや保護者。穂乃果への愛が強すぎるが故に口うるさくなってしまうところが尊いと思います。少し真面目すぎるところがありますが、常にμ'sを客観的に俯瞰して眺めることができる、数少ない「まとも」(優秀)な人材です。
 控え目な性格で前面に出て行く性格ではないものの、影ながらμ'sを支えます。

 結構悩みました。ここは カマジ です。
 「口うるさい」というのが決め手です。口うるさいという表現が適切かはわかりませんが、試合中のコーチングが凄すぎて感動します。先日のちばぎん杯では、サポーターの応援が鳴り響くにもかかわらず、バックスタンド2階まで声が届きました。ピッチ内のコーチングは、後方の選手が中心となります。全体を見渡すことができるからです。貴重なインフォメーションを前線に送ります。
 「うるさい」の意味を質的なものではなく、音量的な意味で解釈しました。申し訳ありません。苦し紛れです。控え目な海未ちゃんの性格は、サッカーで例えるならDFではないか?という強引な理由も一緒に添えさせてください。


南ことり→ヒシャルジソン

 穂乃果の親友でμ'sの衣装担当。穂乃果に全幅の信頼を寄せています。夢を叶えるための留学を諦め、穂乃果とμ'sともに歩むことを決意します。留学こそ出来なかったものの、μ'sの衣装担当を通じて得たものを昇華し、きっとその先の未来で夢は叶えたものと思っています。ルートが変わっただけです。留学はあくまで手段です。留学経由が、μ's経由に変わっただけです。はい。
 とにかく、肯定の人です。穂乃果は素晴らしい景色を見せてくれる。素晴らしい場所に連れて行ってくれる。だから付いて行く、支える。辛口の海未ちゃんとは違う形で穂乃果を支えます。体重が増えたという事実にも「見た目は変わってないよ」と慰めて(甘やかして?)くれます。


 そんなことりは、 ヒシャルジソン 。
 クリスに寄り添う写真(ゴール後の輪とか)が多い印象です。調べたわけではありません。あくまで印象です。そういう意味で穂乃果がクリスなら、ことりはヒシャかなという至ってシンプルな理由です。
 また、プレースタイルがまさにフォア・ザ・チームそのものです。トランジションにおけるボール奪取で何度もチームを救いました。今のレイソルネルシーニョの哲学においてトランジションは命です。カードが多いということは、それだけチームを救っているということでもあります。カードが出る=相手はチャンスだったということです。プロである以上、試合に出場することで価値が高まります。当然、カードで出場停止になりたいはずがありません。その間にポジションを奪われる可能性だってあるわけです。派手なドリブルやボール捌きで目立つタイプではないものの、チームのためにプレーができるヒシャはまさに肯定の人、ことりそのものだと思うのです(強引)。

 

西木野真姫江坂任

 μ'sの作曲担当。シャイで照れ屋、気が強くプライドが高いけど、μ'sが大好きなツンデレの鑑です。少し冷めたような、斜に構えた態度を取りながらも、μ'sへの愛が言動の節々に感じられます。μ'sと出会う前は音楽室や図書室に籠るなど孤高の人だったものの、徐々に友達が増えていたり、積極的に人とのコミュニケーションを図る姿は感動ものです。劇場版でアイドル達に歌を教えるシーンに涙した人も多いはずです。


 そんな真姫ちゃんは、 江坂王子 !
 クールで斜に構えたように見えるルックスやプレースタイルからは想像も出来ない、インテリジェンス・献身性の高さは、ネルシーニョ監督からの信頼も絶大です。
 インテンシティの高い戦術を採用してる今期のサッカーにおいて、試合中に考える時間は限られています。その中でも、例えば瀬川が逆サイドに流れた時には、そのポジションを埋めるために全力で走るなど、ピッチを俯瞰する能力、瞬時に状況を認知する能力、そしてそれを実行する技術・体力が備わっています。
 また、江坂選手といえば、創造性あふれるプレーも魅力の一つです。止めて、蹴るという基本技術は国内でもトップクラス。全速力でのボールタッチがぶれないのはサッカー経験者としても感動ものです。基本的な技術が高水準だからこそ、豊かな発想が生まれ、それを実行することができるものと考えます。創造性という意味では作曲担当の真姫ちゃんはまさに、創造性の塊です。1年間で200曲近くを産み出しました。産みの苦しみなんて言葉は真姫ちゃんには不要なのでしょう。
 そして何より、クールに見えて実は熱いところが真姫ちゃんと似ています。昨季のアウェイ・徳島戦ではコテコテの大阪弁で審判へ詰め寄る場面が抜かれ、一部地域で話題となりました。勝利への執念の現れです。真姫ちゃんと同じく、胸に秘めているものの熱さを感じます。


小泉花陽古賀太

 花陽と言えばおにぎりです。巨大おにぎりを頬張る姿は、この世の中から争いという争いをなくすことができるのではないか、と思うほどに高貴なものでした。1日1回、小泉花陽を拝めば、平和な世界になる気がします。穂乃果とのダイエット回における、息遣いだけの会話は伝説です。「おにぎり」系の選手(?)がいないのが残念です。
 花陽といえば「成長」ではないでしょうか。物語前半では、自分を主張することを苦手としています。ことりの肯定は意思を伴ったものですが、花陽のそれは周りに合わせるものであり、そこに自分の意思はありませんでした。一期で自分を主張したのは、μ'sに入るときぐらいでしょうか。
 そんな花陽が、2期で成長を見せます。μ'sを続けるか、終わらせるかの判断を、最もらしい理由を並べることで問題の解決を先延ばしにしていたメンバーに対し「本当にそれでいいのかな」と主張します。μ'sの活動を通じて、自分が誰かを支えていて、誰かに支えられているという充足が成長を促したものと思われます。人間関係において自分を主張すること、それは対等な関係だという意思表示でもあります。自分を卑下することなく、自信を持つことで自分を主張することができるものと考えます。

 

 成長という観点から、 古賀太 を挙げたいと思います。
 柏アカデミーらしさとも言える繊細さ。その繊細さ故の弱さがあると思います。太陽についても例外ではなく、守備の強度や対人の弱さを指摘されることがありました。弱さを克服するために半年間の武者修行を行います。柏に帰還すると、強さ・たくましさの片鱗が見え始めます。ネルシーニョ監督や井原さんの指導の下、年間を通して試合に絡むことで自信を付けることに繋がりました。ついにはA代表デビューを果たし、今夏には東京五輪メンバーへの選出も期待されています。リーグのキックオフ・カンファレンスにもチームを代表して出席する等、クラブからの期待も厚いものと思われます。
 昨日とは違う自分になることが成長だとするならば、自信を付けること、自信が付いた自分になることは成長と同義です。昨季終盤からの太陽を見て、自信に裏づけされた強さ、たくましさを感じます。これは、まさに物語終盤の花陽と重なります。


星空凛桐畑和繁

 凛ちゃん。元気溌剌な体育会系、ムードメーカー。
 2期5話のエピソードは印象的です。地べたに座る時にハンカチを敷いたり、椅子の上に立つ時は靴を脱いだり、本当は女の子らしい凛ちゃんなのですが、幼少期の心ない馬鹿男子!!の発言から、女の子らしい自分に自信を持てなくなってしまいます。μ'sメンバーのファインプレーでコンプレックスを解消します。ドレスを着た凛ちゃんがセンターを務める「Love wing bell」で泣いた人も多いはず。私服でスカートを履けるようになった描写でトドメを刺されます。その自然な女の子らしさから、女子ラブライバーから絶大な人気を誇ります。
 女の子らしさとは別に、姉御肌的な魅力も兼ね備えています。引っ込み事案の花陽や、恥ずかしがり屋な真姫ちゃんをリードします。非常に面倒見が良いのです。また、2学年上のにこにーをいじり倒したり、真姫ちゃんにチョップを喰らわせられるほどちょっかいを出したり、μ'sのムードメーカー的存在でもあります。

 

 姉御肌かつムードメーカーといえば、柏を守る警備隊、 桐畑和繁 だと思います。
 卓越したトーク力は触れるまでもありません。インスタグラムの投稿はチームの日常を切り取った貴重な情報源となっています。ハッシュタグも笑いのセンスに溢れます。新加入選手や外国籍選手とも積極的にコミュニケーションを図ることで、チームの輪を一つにします。
 加入間もない時期や、勝利から遠ざかる時期などは精神的にナーバスになりがちですが、キリのような選手がいることで救われたことがあったはずです。また、GKという試合中の交代が滅多に発生しないポジションに身を置き、決して多いとは言えない出場機会に腐ることなく、高い意識を持って日々の練習に取り組む姿勢はまさに、尊敬すべき兄貴といった姿ではないでしょうか。


絢瀬絵里中村航輔

 賢い可愛いエリーチカ。そもそも見た目が美し過ぎます。
 自分よりも人のため、学校のために生きる。賢く、強く、完璧であろうとする姿は、切なさや苦しさを感じずにはいられません。高校生には大きすぎる荷物を背負い込んでいます。でもそれは「義務感だ」と希ちゃんに指摘されてしまいます。戸惑うエリチ。紆余曲折、μ'sメンバーの尽力によって、自分らしく生きることを選ぶエリチですが、なぜか少しずつダメ人間になっていく様が魅力的で多くの人の心を掴みました。ギャップです。美し過ぎます(2回目)。
 物語の進行とともにダメっぷりを露呈していくものの、基本的には頭脳明晰、運動神経抜群、生徒会長という絵に書いたようなパーフェクトな人間です。努力を惜しまないストイックな姿勢は幼少期からのものであることは、コンクールで負けたことに号泣している描写からも受け取れます。

 

 ストイックという観点から 中村航輔 です。
 運動神経を活かしたシュートストップは「#残念そこは中村航輔」というタグが出来るほどのものです。そのシュートストップでどれだけの勝ち点を拾ったことでしょう。「自分の課題を細分化して(以下略)」と、細い修正を繰り返すことで、ベースを上げていく。途方もない作業ですが、そのストイックさが結果に繋がっています。「柏の子供は雄太の背中を見て育つ」という名言があります。それだけ、柏のゴールマウスを守る責任は重いということです。背負っているものの大きさはエリチのそれと同じかもしれません(エリチみたいに苦しそうではないけれど)。
次代の守護神候補はストイックの塊。中村航輔、リオへの道程で得た哲学。 - サッカー日本代表 - Number Web - ナンバー

 また、頭脳明晰という観点からは、将棋好きのエピソードが有名です。ファン感謝祭ではプロとの熱戦を繰り広げました。対談の内容も興味深いものとなっています。
サッカー&将棋有望株、独占対談!中村航輔×中村太地の「勝負師論」。 - 将棋 - Number Web - ナンバー

 

東條希大谷秀和

 スピリチュアルパワー注入!!μ'sの名付け親です。
 上級生らしい落ち着きと、包み込むような暖かい眼差しは包容力そのものです。穂乃果を支えることり・海未ちゃんのように、エリチを支える希ちゃんです。
 ただそこに居てくれるだけで安心できる、受け止めてくれる。それこそが包容力だと思います。適切な時に適切な言葉を掛けることができるのは、普段から周りを見ているからこそできるものです。μ'sのメンバーの中で、「人を見る」という意味で最も客観的な視野、洞察力を持っているのは希ちゃんかもしれません。夏合宿で真姫ちゃんを籠絡したのは見事でした。精神的支柱といっていいでしょう。

 包容力、客観的、精神的支柱といえばこの人しかいないと思います。我らがキャプテン、 大谷秀和 。
 タニが居てくれるだけで何とかなる気がします。あの感じこそが、包容力だと思うのです。ピッチに立つことは戦うということです。緊張や不安が伴います。そんな時、タニの存在は大きいと思うのです。タニの声で救われた選手も多いのではないでしょうか。本当に人を見ていると思います。ミスして動揺している選手を励ます声は、ピッチという戦場において心の支えとなるはずです。支え、それはまさに精神的支柱であり、μ'sにおける希ちゃんということになります。

 

矢澤にこ→瀬川祐輔

 「にっこにっこにー」でおなじみ、宇宙No.1アイドル、世界の矢澤。
 μ's内の立ち位置としては、上級性ながらもいじられ役、ギャグ枠としてメンバー全員から慕われています。
 アイドルに懸ける思いや心意気はプロフェッショナルそのものです。2期における伝説の海岸シーンでは、μ'sとの出会いについて「こんな季節に巡り会えた」と表現しています。それだけ、アイドルというもの、μ'sという存在へ懸ける想いが強かったということでしょう。
 「アイドルは絵顔を見せる仕事じゃない。笑顔にさせる仕事なの。」は後世に残る名言です。にこにーに関しては、細かい説明は不要です。とにかくプロフェッショナルの一言に尽きると思われます。

 プロのサッカー選手に対して、「プロフェッショナル」という表現を使うのは少し憚られますが、この言葉を聞いて真先に思い浮かぶのは、 瀬川祐輔 です。
 金髪にしている理由について「ネルシーニョに見てもらうため」と話していました。ネルシーニョ監督からの信頼も厚く、コンスタントに試合出場を果たしていながらも、現状に満足することなくアピールを続ける姿勢はまさにプロフェッショナルです。今の自分に満足せず、常に上を目指す。尽きない向上心は見るものを魅了します。
 また、昨季のサイドバック起用についても、本職とは違うポジションを任されることに不平、不満は一切漏らさず献身的なプレーを続けました。不満を漏らさないどころか、その経験を昇華することで、本職のサイドハーフでの活躍に活かしていく。どんなことからも、貪欲に吸収することで成長へと繋いでいくその精神、メンタルはプロフェッショナルそのものだと思います。

 

締めの言葉というほどのものではないけれど 

 軽い気持ちで始めたつもりが、まさかまさかの7000字を超え!!
 これがどのくらいの文量かと言うと、札幌戦が4000字、ル杯・ガンバ戦が4500字、ちばぎん杯が2700字というところから、察してください。
 レイソル・・・好き、μ's・・・好き。好き+好き=愛してる!という馬鹿丸出しの理屈にもならない動機で書き始めました。好きなことならいくらでも文章が書けることがわかりました。
 新型肺炎の影響で公式戦が延期となっています。Jリーグがある日常、レイソルがある日常は当たり前ではないということを、噛み締めることとなりました。再開の時を待ちわびる日々。約9年前、震災による中断の際に痛いほど学んだはずの事実が、あっさりと忘れ去られていました。年間シートを購入し、アウェイ遠征も当たり前になったことで、どこか惰性的になっている自分がいたように思います。
 月並みですが、再開した暁にはレイソルのある日常に感謝し、噛み締めるように楽しみたいと思います。そして、再開の時に全力で楽しむことができるよう、体調とお金の管理は十分継続していきたいと思います。スタジアムで会いましょう。

vs札幌(1節・2020/2/22) 「トランジション」について考える。

トランジションとは何ぞ


 試合前にもツイートしたが、この試合はトランジションが勝敗を左右する要素となった。
 ネガティブ・トランジションやポジティブ・トランジションといった言葉が存在する。俗に言うネガトラ、ポジトラだ。そもそもの言葉の定義を解釈するところから始めたい。
 サッカーにおける4局面とは、①[攻撃]②[攻撃→守備]③[守備]④[守備→攻撃]だ。トランジションとは、②[攻撃→守備]と④[守備→攻撃]の局面を指す。そのうち、②[攻撃→守備]をネガティブ・トランジション(ネガトラ)、④[守備→攻撃]をポジティブ・トランジション(ポジトラ)と呼ぶ。
 僕自身、トランジションという概念の意味を理解するまでに5年は掛かったし、今でも正直よくわからない。余談だが奈良クラブ・林監督は、以前に講演会で「トランジションなんて存在しない。ボールの保持・非保持の2局面だ(意訳)」と話していた。それでも、自分なりの答えを出さなければ前に進めない、理解が深まらないと思った。だから、今の自分に可能な範囲で解釈を行なってみた。


「攻撃」と「守備」とが絶え間なく繰り返されるゲームの中で、それぞれの局面で再現したい状況があるはずだ。その再現したい状況へ移行するまでの時間のことではないか、と。
「[守備]の局面で再現したい状況」でボールを奪ってから、「[攻撃]の局面で再現したい状況」までの以降の時間という意味ではないか、と。逆も然りで、「[攻撃]の局面で再現したい状況」でボールを失ってから、「[守備]で再現したい状況」までの移行の時間だ。


(例)
「[攻撃]で再現したい状況」:ボール保持によるポゼッションからの前進
「[守備]で再現したい状況」:ボール奪取のためのハイプレス

・[攻撃→守備](ネガトラ)局面ですべき行動:ボールを奪うためにゲーゲンプレスによる即時奪取

・[守備→攻撃](ポジトラ)局面ですべき行動:ボールを保持して相手を崩すためのポジションに移動する。そのために、パス交換でボールを保持しながら、ポジションにつくための時間をつくる。


札幌が抱えるトランジション問題を突く


 札幌は[攻撃]4-1-5(時に505)、[守備]5-4-1。いわゆる、可変システムだ。

(札幌・[攻撃])

f:id:hitsujiotoko09:20200223234949p:image

(札幌・[守備])

f:id:hitsujiotoko09:20200223235000p:image

※画像は、わかりやすいように極端に抽象化しています

 

 可変システムは、[攻撃]と[守備]とで定められたポジションを取るまでに移動を伴うこととなる。移動を伴うとは、即ち時間を要するということだ。自分たちが得意(理想)とするポジションに着くまでに時間が掛かるのだ。極端に表現すれば、自分たちが得意な局面に試合の推移や展開を固定し、時間を経過させることで強さを発揮するものと考えてもいいかもしれない(ずっと[攻撃]をしている、ずっと[守備]をしているような状況)。


 札幌のポジティブ・トランジション([守備→攻撃])は、柏視点ではネガティブ・トランジション([攻撃→守備])だ。柏の[攻撃→守備]の局面とは、即ち高い位置からのプレッシング、ボールの奪い返しだ。そうだ、昨季からの継続である得意(理想)とする局面ということだ。ネルシーニョも試合後のコメントで高い位置からのプレッシングが嵌ったことで、優位な展開で前半を過ごすことができたと評している。前半の2点はこの局面からであり、再現性のある(ネルシーニョは「生産性」という表現をした)狙い通りの得点だったと言える。


 札幌のネガティブ・トランジション([攻撃→守備])は、柏視点でポジティブ・トランジション([守備→攻撃])だ。

 札幌は今期から[守備]の戦術として、ハイプレスに取り組んでいる。ボールを失った際、前でボールを奪いたいのだ。

札幌ハイプレスに挑戦 琉球に敗れるも監督は前向き - J1 : 日刊スポーツ

 

 柏にボールと時間を与えないために、猛然とボールを奪いにプレッシングが襲い掛かる。柏のビルドアップ隊は、圧力に屈しボールを放棄する選択も可能だった。ビルドアップの局面において、強度の高いプレッシングを前にボールを保持することには、恐怖が伴う。奪われることは失点に直結するからだ(自分たちの守るゴールのすぐそばでボールを失うことになるから)。それでも、ガンバ戦のブログにも書いた通り、高い位置でプレッシングを行うためには、高い位置までボールとチームの前進を図る必要がある。
 そんな時、俺たちのキム・スンギュが頼りになる。[攻撃]やボールを奪った直後の[守備→攻撃]の局面において、スンギュまでボールを戻してもボールを失わないことはもちろん、もう一人のフィールド・プレイヤーとしてビルドアップに加わり、相手のプレッシングの無効化を図ることが可能だ。
 スンギュは、ガンバ戦で言及したロングボールの精度はもちろん、足下でパスを繋ぐ能力を持ってる。最後尾をボールの逃しどころとして使うことが出来るということは、相手を柏陣地の深いところまでおびき寄せることが出来ることでもある。時間とボールを得ることに一役買ってくれるスンギュの存在は、柏が採用できる戦術に幅を持たせることになる。

 相手をおびき寄せるということは、必然的に相手が前掛かりになる状況でもある。その後ろに広がっている景色。それは、柏攻撃陣が数的同数でカウンターの準備をしている景色だ。オルンガに当てればボールのキープが可能だし、裏に蹴ればクリスのランニングでゴールに迫ることができる。札幌に背走を強いることで、柏は陣地の回復が可能になるということだ。数的同数=1対1であり、柏のアタッカーの個の力は言うまでもない。「外国人頼みのクソサッカー」なんてネットスラングが存在するが、柏は個の力を発揮できる仕組みを設計し、チーム全体で共有している。決して「頼み」ではないのだ。

 古賀のコメントがチームで共有されている戦術であることを裏付けている。

古賀太陽「守備の課題はチームの問題としてみんなで取り組んでいきたい」/J1 第1節 柏 vs 札幌【試合終了後コメント】 : 「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

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 トランジションで刺す。つまり、素早く[攻撃]に転じることで、札幌に[守備]の局面に移行させないこと、素早い[守備]への移行によって、[攻撃]に移行させないことだ。守備では前から奪いたい札幌だが、そのためのトランジションの設計が曖昧に感じた。全体として押し上げるべきだということは共有されていたように見えるが、柏のアタッカーのポジショニングとそこに高確率でボールが出てくる再現性の高い仕組みを前に迷いが生じていた。トランジションに迷いを生じさせ機能不全に陥らせる。札幌の前後の分断を図ったネルシーニョはさすがと言うべきか、ミシャに時間が足りなかったというべきか・・・。


ボールを持つこと、渡すこと


 ロングボールはあくまでチームを前進させる手段である。
 札幌のプレッシングに対して、単調なロングボールが増えた時間が存在する。2失点を喫した時間帯だ。試合の経過とともに体力はもちろん、判断力や思考力が衰えていく。頭、脳も疲労するということだ。特にこのゲームにおいては、交代カードを負傷交代に割いたことから、疲弊した選手を入れ替えることが難しかった。
 自陣深いところでボールを奪取し、保持へと移行した際に、ボールを繋ぐことに恐怖が伴うことは前述の通りだ。全体が押下げられているということは、前線の選手も守備の配置にポジションを取っていることでもある。全体が押下げられた状態だ。柏は撤退を強いられる中で、裏を取る準備も、セカンドボールを回収する準備も出来ていない状態だ。その状態でのロングボールは、前半のそれとは大きく意味合いが異なる。前進のためのロングボールではなく、ボール保持を放棄するロングボールだ。ボール保持を放棄するロングボールは、局面の移行にはなり得ない。ボールを相手に渡すことだ。[守備]の時間が続くこと、相手に[攻撃]の時間と機会を与えることだ。トランジションの局面が発生しないということは、札幌が持ち込みたい状況、局面で戦うことでもある。

 

締めの言葉というほどのものではないけれど


 試合後にネルシーニョのコメントは必読だ。

ネルシーニョ監督の会見コメント/J1 第1節 柏 vs 札幌【試合終了後コメント】 : 「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

 高い位置でのプレッシングが今季のスタンダードであることや、必要性と妥当性について言及している。
 つまりは、高い位置でプレッシングが行える状況、状態、局面に持ち込む仕組みが必要だ。ロングボールは手段であり、目的ではない。2失点を喫した後、再度ボールを大切にしたことでゲームのクローズに成功したものの、失点を喫した時間帯の振舞いには少し不安を感じた。(負傷交代にカードを使っていなければ、普通にケア出来ていたかもしれない。)
 何度でも繰り返す。[攻撃]の時間を増やし、[守備]の時間を減少させるための高い位置でのプレッシングだ。[攻撃]とはボールの保持だ。ボールの保持を放棄しないこと。失ってもすぐに奪い返すこと。主体的なサッカーだからこそ、選手には考え続けることが求められる。

 ここからは、週2試合の間隔となる。タイトルを狙うからこそ落とせないカップ戦を、どのようなメンバーで戦うのかネルシーニョの選択が楽しみだ。神谷が途中出場で足が攣った(めちゃめちゃ走ってた!!)ように、今の柏の戦い方は、前線の選手の消耗は非常に激しいものと考えられる。リソースは有限だ。