【5-3-2】プレッシングの継続と湘南の解答
- 柏はちばぎん杯同様の【5-3-2】を採用し、高い位置で奪ってからのカウンターを目指しました。
- それに対して湘南は、「柏2トップにコースを限定させないビルドアップ」、「ハイラインの裏とカウンタープレス」という解答を用意します。
- 湘南の狙いとして、柏陣地でゲームを進める狙いがあったものと思われます。
- 理由は、柏の強みが高い位置で密集を作ってからのカウンターである一方、自陣でのビルドアップに問題を抱えているためです。
- つまり、柏の陣地で過ごす時間を増やせば、柏の強みを消すことができるばかりか、柏の苦手な状態を作り出すことができるのです。
- 柏の攻略手段として、『なるべく柏陣地で過ごそう!』と考えるチームは今後も増加していくことが予想されます。
柏2トップにコースを限定させないビルドアップ
- 13:30〜、湘南ビルドアップのシーンです。
- 湘南は最終ラインが幅を取ることで柏の2トップに長い距離を走らせ、コースを限定させないボール運びを行いました。
- 柏の守備は2トップのプレスをトリガーに、高い位置で密集(コンパクトな陣形)を生み出すことが肝になります。
- 退場者が出るまでは、2トップがコースを限定できなかったため、中盤でボールが引っかからず、自陣まで撤退を強いられる展開が続くこととなりました。
ハイラインの裏とカウンタープレス
密集を作られたら背後を狙え!(21:40〜)
- 21:40〜、湘南の最終ラインに自由を与えないため、IHの山田を一列上げて同数で噛み合うプレッシングを試みる柏です。
- 元々は山田が見ていた茨田を太陽に受け渡し、高い位置での密集を作り出すことに成功します。
- しかしながら、否が応にもハイラインになる柏は、最終ラインに広大なスペースが存在します。
- 湘南は、その広大なスペースへシンプルにボールを入れていくことで、柏の密集を無効化、ラインを後退させることに成功します。
密集を作られなくても背後を狙え(25:30〜)
- 湘南は、マリノスや川崎のようにボール保持に命を掛けているわけではないので、数的な優位はあっても、中々効果的な前進が図られない場面もありました。
- だからもう、細かいことは気にせずハイラインの背後を目掛けて蹴っ飛ばすことで柏の【5-3-2】を攻略するシーンも見られました。
- 柏はラインを下げざるを得ないほか、山田・椎橋がセカンド回収に、プレッシングに、と上下動を強いられることになりました。
- 予め蹴ることがわかっていれば、湘南の2列目もセカンド回収の準備ができます。
- また、最悪セカンドボールの回収ができなくても、柏は自陣でのビルドアップ・ポゼッションが不安定なため、柏陣地でボール渡してしまえば、勢いそのままカウンタープレスに移行してしまえば、もう一度攻撃に転じること・奪い返すことも可能です。
- 柏に自陣でボールを持たせるように仕向ける、非常に論理的な戦い方だと感じました。
湘南に退場者が出るまでボールが落ち着かなかった理由
- 湘南に退場者が出るまでボールが落ち着かずにロングボールが増える展開だったのは、湘南のカウンタープレスを剥がすことができず、柏がロングボールを選択することが多かったからと思われます。
- ロングボールのターゲットである細谷・ドウグラスもさすがに警戒されていたため、勝率はそれほど高くなかったことから、再び湘南ボールで攻撃が開始されるる展開となりました。
退場以降
- 退場者が出てから前半終了までは柏が一方的にボールを保持し、湘南が【5-3-1】で撤退する時間が続きました。あれだけ引きこもられると、ポゼッション・ビルドアップで主導権を握ることができない柏としては厳しい展開です。
- 後半、柏の2点リードによって、湘南が「前に出ざるを得ない」「ボールを保持せざるを得ない」状況になってから、柏の躍動感が増していきますが、やはり、ボールを保持するよりも、奪ってからのカウンターに強みがあることを示した格好です。