vs横浜FC(3節・2020/7/8) ネルシーニョ監督のコメントから始める異世界生活

 タイトルに意味は全くありません。リゼロの2期が昨夜から始まりました。私は、猛追という表現が相応しい勢いで1期を消化しております。

 今回はネルシーニョ監督のコメントを出発点として書き進めていきます。
 コメントは公式サイト、または柏フットボールジャーナルからお願いします。(内容は全く同じです)

2020明治安田生命J1リーグ 第3節 2020年7月8日(水) 18:33KICKOFF 三協フロンテア柏スタジアム

ネルシーニョ監督「今日のゲームはチームとして機能しなかった」/J1 第3節 柏 vs 横浜FC【試合終了後コメント】 - 「柏フットボールジャーナル」鈴木潤


 ネルシーニョ監督はコメントの中で、敗戦について[守備]がよくなかった、との見解を示し、理由について、

  1. ポジショニングが悪くプレスがプレスが嵌らない
  2. 相手のWBを意識した3バック
  3. 相手のビルドアップにスペースを与えた(コンパクトを保てなかった)

 としました。今日のエントリーは、この3つについてどういう意味なのかを解釈してみました。
 早速、ネルシーニョ監督のコメントを引用します。

特に前半のゲームの入りが非常に悪く、ポジショニングも良くなくて守備がはまらなかった。相手のビルドアップに不必要にスペースを空けてしまう時間帯が続き失点を許してしまった。 

相手の攻撃の起点となる左右のウイングバックを対応するために3バックで臨んだ。サイドを気にしていた分、守備のオーガナイズが揃わず、(ディフェンス)ラインをコンパクトに保てずに攻撃の形を作られてしまう展開になった。  

 この2文に全てが詰まっていると私は考えましたので、図解しました。
(文章など書かずとも、この図解だけで十分な気がする。)

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理由①ポジショニングが悪くプレスがプレスが嵌らない

  プレスが嵌らないとは、守備の枚数が相手の攻撃に合致せず、どこかを埋めるとどこか空いてしまう状況を指すものです。
 横浜FCは、3バック+ゴールキーパーの4枚を中心に[攻撃]の組み立て(=ビルドアップ)を行うことで、前進を図りました。
 [攻撃]の起点となる4枚に対して、柏は2枚(呉屋・ミカ)での対応を迫られました。2対4という数的にも不利な上、足元の技術に長け、ボールの保持を強さとする横浜FCのビルドアップ隊に、圧力を掛けることができませんでした。
 2列目以降の選手がサポートに出ることが望ましいのかもしれませんが、理由②「相手のWBを意識した3バック」や理由③「コンパクトに保てない」の影響で封じられています(後述)。

 柏のプレッシングが無策だったわけではありません。なぜなら、横浜FCはボールを扱う技術に長けたチームだからです。下平監督の哲学・指導の下、全選手が恐れずにボールを扱うことで強さを発揮する秩序だったチームです。柏のプレッシングに対して、フリーな味方を見つける状況の認知と、そこにボールを通す技術と判断は、リーグでも屈指の水準です。自陣ゴール前でのパス回しは、一つのミスが失点に直結するという恐怖が伴うことから、大変な勇気が必要です。

 結果的に柏のプレスは、枚数が合致せず噛み合わなかったことから、横浜FCに余裕を持った前進を許すこととなります。前半途中から神谷を投入し、状況の整理を試みるも解決には至らず、90分という時間が経過しました。


理由②相手のWBを意識した3バック

 「相手のWBを意識した3バック」とは両WBに対応するために右は峻希に、左は瀬川に対応させることです。
 横浜FCはボールを保持する局面で、両WBがサイドの高い位置にポジションを取ります。横浜の再開初戦・札幌戦では、この両WBの攻撃参加、主に裏への抜け出しによって、PAへ迫る再現性のある攻撃を展開していました。足の早いWBが裏を狙うことで、守備側は陣地を押し下げられてしまいます。
 また、横浜FCのWBはスピードを備え、個人での打開が可能であることから、柏としても個の質で劣らない選手を配置する必要がありました。

理由③相手のビルドアップにスペースを与えた

 しかしながら、3バックが裏目にでる格好となりました。結果的にこの二人は最終ラインに押し留められてしまうこととなりました。一部コアなサッカーファンが使う言葉で言うところのピン留めです。
 峻希と瀬川が最終ラインにピン留めされたことで、横浜FCのビルドアップ隊は横幅を使いたい放題となりました。横幅を使いたい放題=ビルドアップにスペースを与えたという解釈です。
 横幅を自由に使えるということは、陣形を横に広げることで柏のプレッシング隊に長い距離を走らせることが可能となります。守備に隙間を作ることができるということです。

 峻希(と瀬川)は横幅を埋めたくても、前へ出れば裏のスペースを使われてしまうので、高い位置までプレッシングに出られない状況です。実際に「出てきたら(瀬川の)裏を使え!」という下平監督の指示を集音マイクが拾っています。

 瀬川について、もう一つ言及したいことがあります。低い位置にピン留めされてしまったことで、攻撃への移行の際に長い距離を走る必要があったことです。昨夏〜秋に掛けてSBを経験しているものの、強みは攻撃であることに違いありません。後半のカウンターの場面で、アウトサイドを使ったパスが逸れてしまいました。これは、運動量が多かったことで疲労が蓄積し、プレーの精度が低下してしまったことが要因のひとつだと考えています。

 

締めの言葉というほどのものではないけれど 

 これだけ書いて前半20分くらいまでの内容です。失点直後、早々と選手交代に踏み切るなど、触れたい事象はたくさんあるものの、次の試合が迫る中ではこの程度が限界です。

  相手を「ニュートラル」にすることは、ネルシーニョ監督の基本的な戦術の考え方です。ニュートラルというのは、相手の良さや強みを消すことです。今回も入念なスカウティングや分析があった上での3バックという判断です。
 過密日程かつ、コンディションが不十分な中で、戦術的に妥協することなく、たたひたすらに勝利を追求していく姿勢は、ネルシーニョ監督の生き方そのものだと感じました。
 そして、そのネルシーニョ監督に真正面から立ち向かい、勝利を収めた下平監督の手腕もまた類稀なものです。名将対決を現地で見られなかったことは残念でなりません。秋のニッパツではSS席を購入する予定です(何の話?)。