vs横浜F・マリノス(15節・2021.05.22) 課題は克服できたのか?

4月の3連勝も束の間、リーグ戦・カップ戦ともに約1か月にわたって勝利から見放されている我が軍。

今回の相手は横浜F・マリノス。前節は鹿島アントラーズに敗戦を喫したものの、ポステコグルー監督の下、ボール保持での主導権獲得を目指すサッカーを着実に積み上げており、その強さは言うまでもない。

そんな強敵に対して、ネルシーニョ監督の選択した対策を確認していく。 

3バック→4バックへの変更について

そもそも、3バックで戦っていた理由を整理すると、

  • 9節・ガンバ戦以降、3バックを採用
  • その目的は、ボール保持・ビルドアップの改善
  • 4バックでスタートした今季であったものの、昨季からの課題であるビルドアップ・保持という課題の克服には至らずに連敗
  • 4バックではボールを持てないと判断、応急措置的な対応としての3バック

という点が挙げられるが、ここにきて5-4-1から4-4-2へ変更に至った理由を、ネルシーニョ監督は、以下のように言及している。

  • 我々としては相手の最終ラインの背後の空けたスペースをカウンターで取りに行くプランを持っていた。
  • 4バックで臨んだ狙いは、ここ最近5バックでやってきている中で思うように結果が出ていないので何かを変えないといけないと見ていた。
  • 相手の特徴もある中で、まずしっかりとセンターのレーンを固めてライン間で動き回る選手のマークを補強することをポイントに置いていたのも今日4バックにした狙いでもある。
www.reysol.co.jp

自分たちの課題を克服するための3バックであったけれど、とりあえずは棚上げ。

今は、目先の勝ち点にこだわる必要があると判断、相手をニュートラルにするという初心へ戻ることを選択したものと思われる。

サッカーというゲームの攻略対象を、「自分たち」から「相手」に変更したと換言することもできるかもしれない。

4-4-2はどうだったのか

立ち上がりから戦前の予想どおり、横浜F・マリノスがボールを支配しながらゲームは進む。後方でのポゼッションで時間を確保しながら、柏レイソル陣内への侵入を目論む。

対する柏レイソル

横浜F・マリノスのボール保持に対して、時間もボールも与えない!強度ぶち上げてガンガンいくぜ!的な前からのプレッシングを採用することも考えられたものの、結果的には、4-4-2のブロックをミドルゾーンにセットすることを採用

ネルシーニョ監督のコメントから、狙いは主に以下の2点であったと推察される。

  1. ボールの「出し手」に圧力を掛けるのではなく、「受け手」を窒息させるコンパクトなブロック形成での対抗を選択。
  2. 中盤に構えることで、マリノスの背後にスペースを作る

f:id:hitsujiotoko09:20210523102856p:plain

1.ボールの「出し手」に圧力を掛けるのではなく、「受け手」を窒息させるコンパクトなブロック形成での対抗を選択 について

横浜F・マリノスのビルドアップでは、ボールの「受け手(ビルドアップの出口)」であるSBや中盤の選手が流動的に立ち位置を変更することで、プレッシングの回避を目指すといったものである。

SB(松原・ティーラトン)が内側に絞ることや、マルコス・ジュニオール・天野・喜田が柏レイソルの2トップ(細谷・江坂)〜CH(椎橋・ドッジ)周辺を彷徨うことで、前進を目指すシーンが見られた。

横浜F・マリノスとしては、プレッシングに来られることは慣れている。だから、当然にそれを外す手段も擁している。

柏レイソルは、プレッシングに行ったとしても無効化されて前進される……という展開を避ける狙いから、「出し手」よりも「受け手」に基準を合わせたブロックを選択したと思われる。

そしてその選択は、80分以上も得点を与えずにゲームが進んだことから、十分に効果的に作用したと考えて差し支えない。

2.中盤に構えることで、マリノスの背後にスペースを作る について

柏レイソルがミドルゾーンにブロックを構える。そこに、横浜F・マリノスがボールを持って前進してくれれば、背後にスペースを生み出すことができる。

自陣に相手をおびき寄せた上で、コンパクトなブロックの中でボールを奪い、素早く背後を突くカウンターという戦い方は、昨季まで積み上げてきた形である。

オルンガほどの質的優位を有する選手が存在しない分、FWを2枚(細谷・江坂)とすることでターゲットを増やす狙いもあったものと思われる。

また、5-4-1ではなく4-4-2としたことで、重心が下がり過ぎず、スムーズなカウンターへの移行が可能となったことも付け加えておく。

  • 狙い通りに攻守が切り替わったタイミングで空けたスペースをうまくカウンターに出ていくこともできていた。
  • いい守備からカウンターに出ていく流れ、形は非常に良かったが、最後のアタッキングサードに入ってからボックス付近でのラストパスの精度やボールを持った選手がよりいい状態にある味方の選手がいるのに無理してクロスやシュートを打ってしまうことがあった。
  • ただ、今日のゲームに関しては再三チャンスを作れていたことが評価のポイントだと思う。

ネルシーニョ監督のコメントも、最後の精度には言及しつつも、概ねプラン通りの試合運びであった様子が窺える。

課題は克服できたのか

4-4-2選択は実に論理的で、ネルシーニョ監督らしさ溢れるものとなった。プレーする選手たちから迷いは感じられず、コメントからも充実を感じさせる内容となった。

それでは、長いトンネルを抜け、課題の克服に至ったからこその善戦だったのか?というと、答えは否である。

そもそも、4-4-2を選択できたのは、横浜F・マリノスの採用する戦術に起因するもの。

相手がボールを保持するサッカーを採用するチームであったからこそ、柏レイソルはボールを保持しなくても良いシチュエーションでゲームを進めることができた。

ボールを保持しなくても良いシュチュエーションとは、柏レイソルの弱点が露呈しないシチュエーションだ。

少し振り返ると、4月の3連勝についても、コンディション不良であったガンバ大阪はともかく、大分トリニータ徳島ヴォルティスともにボールを保持しながらゲームを進めることを好むチームである。

つまり、横浜F・マリノス戦の善戦は自分たち課題を解決して為し得たものというよりは、戦術的な相性によるものであると考えられる。

 

また、もう一つの懸念材料として、唯一の強みであるカウンターの精度が低調という点が挙げられる。

精度の低下がコンディションによるもの、ゲームの時間経過に伴うインテンシティの低下によるものであれば仕方のない部分があるものの、一見したところ、そんな様子は見られなかった。前半から今一歩であった。

焦りか、不安か。

チームとして結果が出ない中で求められるチーム内の競争が悪い方向に作用していなければいいと思うばかりである。

積み上げたと考えていたカウンターが、実はオルンガの質的な優位性によるものでしかなかったのだとしたら……杞憂で終わって欲しいものだが。

今後のチームの動向を注意深く見守っていきたい。